story To day.(レイリタ) 「っと、…リタっち?」 ベッドに寝転がると、後に続いて少女が跨ってきた。まさかと思いきや、そんな様子も無いので安堵する。 だが一つ気がかりな事があった。 普段なら触れることにも頬を染める彼女は、今日は自らレイヴンの胸にしがみつきカタカタと震えているのだ。 …兎に角、この気まずい体制を何とかせねば、と彼女の体を少し持ち上げて横に寝転がし、片手で抱きしめてやる。そうすれば… 「…ぬグォッホゥ!?」 直後のみぞおちに激痛。下を見やればめり込む鉄拳。 (震えていたのは、この所為、か…) 「な、なにす…り、タぐふっッ」 二発、三発同じところに増加する痛みと、変わらず胸にうずくまっているリタという名の暴力少女。 「うっさいこの浮気オヤジ…!!アンタなんか…アンタなんかどうせ…ッ!!」 「う、浮気ぃィ!?待って待って、何のことよ?」 「とぼけんなっ」 さすがに腕が疲れたのか、リタは彼のみぞおちに拳を当てたまま顔を埋め、口を開く。 「今日はふざけていないから、流さないで聞いて?―愛してるよ」 レイヴンの瞳が、見開かれると共にもう一撃拳が振られ。 「ジュディスが好きなら、好きって言えばいいじゃない…。そりゃそうよ、アタシよりもジュディスの方が年上だしむ、む胸だって…」 腕の中から聞こえてくるリタの声は、悲しくて切なくて。チョコレートのような髪を指に絡めて、レイヴンは俯いた。 「…ぷっ……はははっ、聞かれちゃったかあ〜。いやあおっさん迂闊だったよ〜」 「な、…え?」 見上げて唖然とするリタを尻目に、彼は本当に可笑しそうに声を上げ彼女の上へ覆い被さると 「んっ…」 チュ、と数秒間だけの軽い口付け。続けて二度、三度殴られた回数分をお返しすれば、彼女の怒りは呆然としたものに変わる。 「その台詞言うためにおっさん、ジュディスちゃんに練習つき合ってもらったのにね〜」 「…、もしかしてアレって」 「そ。リタに言うために、それも格好良ぉく言うために頑張っちゃった」 でも本人に聞かれちゃ台無しだわ、と口調はふざけていても、彼女を見つめる翡翠は真剣で。 耳までほんのりと赤いのは、ここまで親密に女性と交わる事が無かったから…以前彼が教えてくれた。 「なんだ…」 なんだかやるせなくなり、彼の背中に手を回す。本気で殴る彼女の鉄拳も、彼の体は微動だにしていなかった。成る程グハだのゲハだの呻いていたのは演技か。 「俺様、こう見えても結構一途なのよね」 悪戯ぽく微笑んで、もう一度顔を近づけてくるその前に彼の唇を奪う。突然の行動に一瞬息を詰まらせるが、押し返し深く何度も角度を変えて口付けた。 うっすらと目を開ければ、間近に見えるレイヴンの顔。 視線に気づき名残惜しく唇を放す彼の熱い視線に、リタの視線が交わる。 その時に、リタだけが知る笑顔が現れるのだ。 「今日だけ、ふざけないから」 この言葉を紡げば、レイヴンだけが知る照れ笑いが見え隠れする。 「ふざけてんなら、また一撃喰らわせてるわよ」 いつまでも続く威勢の良さ、いつもと違う優しさが愛おしい。 「愛してる」 +--+--+--+--+--+--+--+ またまた自己満。 20歳差っていいですよね。おっさんはいい男!← あ、これ付き合ってる前提なのか?(笑) [*BacK][NexT#] [戻る] |