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story
貴女のためなら(レイリタ)






「リタッ!!」




エステルの声にハッと我に返るが、時すでに遅し。魔物の斬撃は彼女目掛けて振り下ろされる直前だった。

叫び声すら、上げる暇が無くリタは目を強く瞑った。脳裏に浮かんだのは、己が死。

肉を裂く気味の悪い音が耳に入るが、いつまでたっても痛みは襲ってこない。




恐る恐る、リタは瞳を開けていった。




「れ……、」




目の前の光景が信じられなくて、開いた瞳は更に見開かれた。

魔物の大きく鋭い爪は、リタの寸前で静止していた。その代わり、爪には大量の赤い液体がついていた。




そう、レイヴンの、血が。




自らの右胸を貫かれる代わりに、彼は短剣を魔物の脳天に刺していた。青と赤の血が入り混じり、絶えずリタの目に映りこむ。

「レイヴン!!」




そのまま倒れこむ彼に、リタは駆け寄る。続いてエステル、ユーリも。

息はしているものの、胸から流れる血は止まる事を知らず。




「冗談、でしょ…?おっさん、起きて」




言っている内にみるみる血の気を失っていく、肌。




おっさんが、




「起きなさいよ、ほらおっさん」




死ん、で…?











「…ッ!!」


体に圧迫感を感じて息がつまり、目を見開いた。




ただ宵闇が支配するこの空間を、宿だと判断するにはそう時間はかからなかった。




部屋だとわかれば、大きく安堵の息を吐く。そうして今自分の体に圧迫感を与えている存在に視線を動かした。




最初に目に付いたのは、桃色のシャツ。うつ伏せになったその体が、ずっとのしかかっていたのだろう。




不思議と、退けようとは思わなかった。唯一動く首を横に向ければ、案の定呑気な寝顔がすぐ目前に。




シーツに頬を押しつけて、さも気持ちよさそうに寝息を立てるレイヴンに無理矢理寄り添い、顔を近づける。少しでも、近くに。




間近に見れば、それなりの顔立ちである事に驚く。いつもは無造作に結い上げられた髪は下ろされ、隠れた片目に何故だか胸が高鳴った。




「…夢でもバカね、おっさん」




なおも寝息を立てる彼の唇に、そっと触れるだけの口付けをして抱きしめるように乗せられた腕に顔を埋めた。




無意識なのは、わかっているのに何故だろう。あの忌まわしい悪夢の所為だろうか。




彼が物凄く、愛しいのだ。








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ただ単にか弱き乙女を庇うおっさんが書きたかっただけ←

レイリタはラヴラヴだよ。←

[NexT#]

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あきゅろす。
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