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惜別【壱】

サスケが山に狩り出る切っ掛けに伴い、子狐は感謝を伝えたくと頭を一つ下げ。フガクとミコトの目前から元気よく走り去ってサスケ足隣を歩いていた。


山中に着くとサスケの前に座り込み、何度となく頭をペコペコと下げ恩誼を伝えた。

「今度からは気をつけるんだぞ…」

サスケの言の葉に頷き、分かったとでも伝達するようにキュン!!と鳴き、尻尾を立てて走り山奥へと姿を消した。





この日を境に山に行けばサスケの前に子狐が現れ。昼になれば共に雑穀混ざるおむすびを食した。

また、サスケの収穫がない時には雉や鳩、兔、または清流を泳ぐ魚などを口に啣えた子狐の姿があり。これらを持って行けとサスケに差し出した。「もう、いいんだ…」と何度サスケが伝えても尚。




そんな安穏とした日々が続いたのも束の間、ある日サスケが山から家に帰ると青醒めた顔の父フガクと泣き伏せる母ミコトの姿を視る。



「…‥…今し方、訃報が入った…」

そう云ったフガクの拳に握られた文がサスケに差し出された。

「…‥!!?‥」


言葉にならない伝達を著す字面に涙さえ浮かばず。サスケは只、言葉を失って立ち尽くしていたのだった。




齢も十三と満たず、力及ばずなため家計や村里に余り貢献出来ない己を酷く忌み嫌い、兄の代わりに己が…‥と悔やむのも、弔いへと都に訪れた時が一の月と経たずして訪れるのである。


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