[携帯モード] [URL送信]
出逢い【弐】


こうした看病は陽が暮れても尚と続く。
部屋に篭もりっきりのサスケを心配した母ミコトが襖からその様子を知り、声を掛け土間より丸薬をすり潰した物を持ち寄り。サスケがこれを怪我を雨濡れたため衰弱している子狐の苦しそうに息吹く口へと与える。

就寝時分となった折、サスケが床を並べれば時折うっすらと開かれる子狐の目蓋。

その細い縁中にぼんやりと宿ったサスケの顔、毛並みに触れる感触は普段警戒を抱いていた人間のイメージとは異なるものゆえに安堵を招き、薬も効いた様子で若干穏やかなるものへ寝息を移した。


そして
明くる早朝、サスケの頬にざらりとした感触が見舞われた。

「……う…‥」


サスケが目を醒ますときちんと座り、顔を傾げ覗き込むような碧く丸い瞳と視線が重なった。

「お前、大丈夫なのか?」

起き上がるサスケの問いに応えた様子で「きゅぅ…」と鳴く獣の小さな声。
良かったと安堵するサスケの微笑み、暖かい掌が耳立つ間の金糸を寝かすかに滑っていた。


この朗報を朝のお三どんをするミコトに伝えたく子狐を抱きかかえ其方へ。


ミコトから枕席より聞いたであろう父フガクも交えて回復を喜ばしくと思うも、しかし、たった一日で流石に足の怪我は回復しないだろうと読み。
暫くは快方に向かう野生なる動物を我が家で保護しようとの事柄を快晴の陽射し当たる居間で朝食を採りつつ話し、家族で快諾したのであった。

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!