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ベントーお届けェ!


在校生徒の殆どが中等部からの繰り上がりとなる木ノ葉学園高等部の入学式はそつなく終わり。
HRが済ませると即座に下校となった。
プリントを見間違え午後から授業があると勘違いして俺は、家に帰ったらナルトと一緒に庭で弁当でも食うかと考えていた。
今日は天気がいいからな。

留守番させてるナルトを四六時中気にしてた為か我先にと校舎を離れ自転車に跨った。
そうして正門くぐろうとした時、思ってもない光景が目に止まり目を見開く。

「な!?」

枝を下げ持ち、舌を出し放しに九本の尻尾を全部垂らし、ふらふらと覚束ない足取りで歩くチビの姿に慌てて自転車を止める。

「サ…、サスケェ…」

尻尾を振って俺を見上げるナルトは疲弊しながらも笑顔を取り繕っていた。

「こんなトコで何してやがる?」

何故留守番をしていないと見据えるが、チビはそれに物怖じする事なく、片手を掲げた。

「なにって…、コレ…」

小さな手に握り込んだ枝の先には萎れた桜の花が並んでいる。

「サスケに…プレゼント‥だってばよ。」

切れた息を整えずに喋るナルトが差し向ける花枝を自転車を降りて受け取れば、問い詰めようとした言葉は消え、フッと息を漏らして釣られたように微笑んでいた。

「ありがとう。…だが、今度から勝手に枝を折ったりするな。わかったな。」

「…うん。」

ヤケに素直なのが気持ち悪い。
普段なら言い訳かまして怒鳴りつけてきそうだが……
やはり具合でも悪いのか?

「ナルト、お前…」「それと…、コレ…」

「何だ、まだ何かあるのか?」

膨らんだ懐から布地に包まれた箱を取り出し、また俺に差し向けた。

「お前の忘れモン…届けに…きたってばよ。」

これは今朝、俺がコイツの昼食にと置いてきた弁当じゃねーか。
何勘違いしてんだか、…この馬鹿ときたら。
やはり、聞いちゃなかったか。

呆れて怒る気が失せたのもあったが、この様子からして家から歩いて此処まで来たに違いない。
恐らく迷いながら。
「あのな、ナルト…――って、オイ!」
弁当を両手に持ち、前のめりによろけるナルトを咄嗟に捕まえる。

「どうした、大丈夫か?」

「…み、…みず…」
短い呼吸を繰り返したまま譫言のように嗄れ声を発したナルトを抱き上げ、取り敢えずオフロード用の自転車の前カゴに座らせる形で入れ、背負った鞄からミネラル水の入ったタッパーを取り出し、その飲み口をナルトの唇へ運んだ。

「オラ、しっかりしろ!」

「ンく…ンく…――、ぷはあ〜!サンキュー、生き返ったってばよ!!」

ニッとする笑顔で口元をゴシっと拳で拭うチビは、一瞬でいつもの元気を取り戻したようで安心したが、…しかし、現金な奴だぜ。
まあ、らしいっちゃ、らしいがな…。






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