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「腹減ったってばよ…。早く一楽いこーぜ!」

スケッチブックを畳むサスケの腕を掴み引っ張る。
サスケは素知らぬ顔で自宅へと足先を向けた。

「俺はやる事があるんでな。また明日、頼む。」

「えー!!何だよソレ!ラーメン奢ってくれるって約束したじゃんよ!」

「…そんな約束は覚えちゃいない。」

「あ〜!!ズリィ!!サスケ、てめェわざと忘れやがったなァ!」

「わざとじゃない。真面目にだ。」

「少しっつったのを信じて、一時間も我慢してやったんはラーメン奢ってくれるってな約束したからだってのによ!!」

「そうか。…悪かった。」

そう言うものの、サスケはナルトに構わず、私有地とされる浜辺から自宅へ続く長い階段を登っていた。

「悪いと思ってんなら、行動で示せってんだ!!」

「明日じゃ駄目か?」

「お前さ、明日つってオレが明日また来た時には忘れちまってたりすんだろ?」
「今度はちゃんとメモしとく。」

「出前頼んでお前んちで、また青い奴と一緒に今日食う!オレってば腹ぺこで死にそうだし!
なっ、そうしょうぜ!!」
「悪いが今日は駄目だ。」

「なんで?」

「やらなきゃならねーんだよ。忘れない内に…」

神妙な表情をする横顔を目に止めれば、諦めるしかないとナルトは唇を噛み、それから緩やかなスロープが続く長い階段を共に登る事を止め、「また明日」とにこやかに手を振った。


サスケは自宅に戻ると出迎える鬼鮫に「明日の夕飯は要らない」と伝達し、用意された暖かな夕餉に見向きもせず、自室に一人閉じ籠り。スケッチブックを開いてはイーゼルに乗る白く大きなキャンバスへと入念に今日描いた情景を映し出した。

鬼気迫るようなサスケの顔付きを見送った鬼鮫は簡易な夜食を拵え、それをサスケの部屋の扉前に揃えてから、サスケに用意した夕飯を平らげ使用人部屋の方へと引き払った。

サスケは時間の過ぎる事を忘れ、寝る間も惜しんで没頭していた。

己の湧き上がる感情をそこへぶつけるように、丁寧に繊細に線を連ね、色を足し刻みつける。

南国の景色がよく似合う、朗らかで活発でいて優しい笑顔を思い浮かべ、消えかけてゆく記憶を追いかけるよう彩りを広げていった。


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あきゅろす。
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