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勉学は追いつかず、記憶が失せゆく一方なのは重々承知とはいえ、やはり多大な不安に襲われたりもした。
「不安になるのは当ったり前だってーの!」
何も言わなくとも推量してナルトが笑い飛ばす。
ライバルという観点は変わらないとムキになるも、核心に触れるような肝心な事は互い口にしなかった。
けれども不思議と何かを読み取ってはいた。
恐らく気が付かずな奥底で互いを信頼し尊重していたからだろう。
義務教育期間を終え、サスケがクラスメートでなくなった現在でも、そんな間柄は続いている。
当たり前のように……――
ナルトは頬杖をつき、スケッチブックに鉛筆を走らせるサスケを退屈そうに眺める最中、過去を手繰り思い出してはクスリと笑った。
サスケは目の前に広がる穏やかな海面上と、金色の髪糸靡かせる被写体の淡色が潮風に揺れ益々と夕陽に彩られてゆく景色に目を細め、ひたすら記憶に刻みつけるよう、その情景を描き続けている。
「なあ、サスケ」
「何だ?」
「まだ動いちゃダメなんか?」
「あと少しだ。我慢しろ。」
「あと少しってどんぐらいだよ?」
「ほんの短い間だ。」
「その短い間ってのは何分くれェだ?」
「うるさい。気が散る。少し黙れ。」
「なんだよ!いいじゃんか!!ずっとずーっと大人しくしてたんだからさ!」
「動くな。」
「もう我慢出来ねェ!」
「立つなバカ、座れ。」
「ラーメン、奢ってくんなきゃ座ってやんねェってば!!」
「…分かった。元の位置に戻れ。」
「やったー!! んじゃ、あと少しだけ協力してやるってばよ。」
万歳と腕を伸ばしたあと、ナルトは再び珊瑚の細かい粒子で出来た砂浜に置いた学生鞄に腰を降ろして頬杖を着いた。
にこやかに笑いながらなのは好物を頭に描いていたからだろう。
「なあ…、まだなんか?」
空腹だと喚く腹の音を鳴らし、ナルトが呆れたようにサスケにそう訊ねたのは、すっかり夕陽が沈んだ時分となっていた。
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