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「サスケェ!」

透明度の高い穏やかな海に夕陽が映える頃、漸く待ち人が現れた。

100メートルにも満たない小さな入り江の白い砂を蹴散らしサスケと呼ばれた少年の元へと片手を振り走ってくる。



風光明媚な海岸で囲まれた此の島国は一年中温暖な気候を保ち、国内では珍しく原生なる自然にも恵まれ有機に満ちていた。
しかし数十年前からリゾート開発が進み、島に点在する小さな町や村は次々と繁華した“街”へと変わってしまう。
島に住む人々の生活は以前よりも多々と潤ったものの、それ以上に失ったものも多くとしたが、それに気付く事よりも、今以上の快適さと便利さのある豊かな生活を人々は求めてしまった。


リゾート開発案がこの町にも及んだ当初は“珊瑚の海が汚れる”“南国独特の自然が荒らされる”“本国の言いなりにはならない”との事から断固として開発反対を訴えた人々も多くと存在していた。
けれども、その人々の意見は徐々に消え失せ、土地を手離す人々も増え。
“うちは”と名乗る本国から来た者達が次々と、あらゆる美しい海岸地を中心にあちらこちらの町や村の土地を買い占めていった。

そして、高層なる建築物を増やし、財団とうちは財閥の系列が一丸となり開発と発展を絶え間なくと推進して行き。
その振興により、この小さな町も現在は近代的なリゾート地となり、島内有数の観光地ともなったのだった。




二人の少年だけが位置する100メートルにも満たない、この小さな入り江だけを除いて……




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あきゅろす。
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