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Love sound-6





xxxx年

ここは
喪われる星の代わりとして人類の知恵と科学で造られた星。地球で行われた“プラネットアース計画”により地球人類の移住を計らったのだが、銀河系を離れたこの場所へ到達するには、耐えられなかった何かがあったようで、この星に地球人が暮らしてた様子は見受けられなかった。


しかし、地球と良く似た環境は、全くと同じ生命を産み出し、長い歳月をかけて画期的に進化したのだった。


急速なる発展をもたらしたのは、この星に残された数々の金属や電子の破片と、風化した機械に…
散乱した人型を表すロボットの功績があったからこそだ。


近代史が造られるまで、争いは絶えずとした時期もあった。


しかし、早くと止んだ。

争う事よりも残された物の謎を解く方にこの星に住む者達が興味を沸かせ知識を求めたからであった。



それでも
命を伐採する事を止められない者達がいた。



   生きるために…‥






蔓延る疫病に
遺伝子を組み替え人工的に作られた食品の数々、自然が引き起こした災害、決して長いとは言えない寿命。

これにより
世界人口も増長に歯止めを掛けた頃合い、漸く人々は戦争を意味のない争いと知り、平和を温存させる。

今日に至るまでの人類史が、何不自由ない暮らしを均等にしたと言えるくらいの自然と共存した豊かな社会を導いたのだった。
















「…ただいま。」


「おっかえりー!」


小さな家の扉を開けた黒髪の端正なる顔付きをした青年は、この星の開発センターで有望視され働いている。

迎え出たのは、その者の配偶者。
金色の髪を腰までと長くと下げ伸ばし、碧眼の丸く大きな瞳に朗らかな弧線を描かせ、元気の良い声を発し亭主へと抱きつく。


「腹減っただろ?、支度出来てっから今すぐ飯にしよ、な?」

腕を引かれ促されて居間へ。
背広の上着を脱がし雑に衣紋掛けへと預けた妻の背中を確認しさりげなく直し、食卓に腰を下ろす。
用意された手料理を二人並んで食す。

日に日に、腕をあげる家内に「美味い」と一言。
すると、明るい笑顔を振りまき得意気におかずを刺した箸を差し向けた。
『もっと食え』と。
詰め入れる卵焼きに噎せつつ、綺麗に焼けた香ばしい表面に歯を食い入れる。
己の為に上達したのが嬉しく拒めずに。

そうして食事を済ませては茶を飲み一息つけ。隣に投げ置いた鞄を開いて妻へと差し出す。

「今日、海岸で拾い解析したんだが…」

「何だ?これ、石なんか?」

「いや、コンクリートの欠片らしいが、その落書き…似てないか?」

石版のような薄汚いコンクリートの欠片を手に取り、碧い瞳を凝らす。



☆⌒初めて記念⌒☆

ナ ケ / ノ ┝

ΣV- -V≡^∇^≡




「確かに、こっちはサスケみてェだけど…」

クスリと笑う口元、確かめるようにチラリと見詰める碧瞳。

「頬に線がある方は、お前みたいだろ?」


「一体、誰が描いたんだってば?」


「さあ…な。だが、シカマルとキバの協力を得て解析した結果、面白ぇ事が分かったんだ。」


「何、なにっ!?何だってばよ!!」


「ああ…、実はな、これはこの星で作られたコンクリートじゃなく、どうやら破滅してしまった地球で作られ描かれた物らしい。」


「それって、もう随分昔のもんじゃん。何百年、何千年前とか…」


海底に沈み洗われ、形を削られても尚、不思議な事に残っていた落書きの文字。自分達、二人に似た簡素化された絵。


「初めてって、何の初めてなんかな?」

「そりゃあ、決まってんだろが…」


ニヤリと笑い、肩を抱き寄せ優しく床に妻の背を倒しつ、唇へと口付ける。


「ん、…ふ――‥」

吐息漏らす柔らかな唇を幾度か絶え間なく啄み。

そして
離した唇で、その後の事を匂わすかに細い首筋へと唇を這わせ。浅く吸い付くけばすぐ様、大きく盛り上がった胸へと片手を落として優しく揉み撫でた。


「…あっ、‥ん!、やぁ…っ、…お腹に赤ちゃんいっから
‥…ダメ、だってばよ。」


予期もしなかった妻の言葉にハッとして唇を肌から遠退け、嬉しくて言葉も出ずに。
見開いた侭の黒双眸を、はにかみ見上げる瞳に照らし合わせていた。



「今、2ヶ月なんだって。」

朗報を聴いたサスケは一度瞬くと、身体をずらして片耳と両手をまだ平な妻の腹にそっと落とした。

それから暫くの間、目蓋を閉ざし静寂を保って耳を澄ます。



「…‥聴こえたぜ。今、動いただろ…?」

「そんなワケないって。まったく気の早いパパさんだってばよ。」



いや、
決して気の所為なんかじゃない。

俺とお前とで創生した
小さな生命が
確かに此処に宿り、
生きている…と
伝えてくれたんだ。

ドクンと大きく
ひとつだけ跳ねた感じで…。





未だに微かだが
トクトクと響く
愛おしい共鳴…


ほら、お前にも聴こえるだろう?



記憶さえない
遠い過去より
望まれた
命の営む音が…ーー


頼りなくとも紡ぎ
確りと離さず綴られてきた
暖かくて
何処か懐かしい
音色を奏でる
ラブソングのように…。





〈 FIN 〉

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