distance-2
約束の時間に少しだけ遅れて約束の場所を下に鉄翼を閉ざして行く。
まだサスケが来てなくて安心する。
人の体に早く戻んなきゃ…
サスケには見せたくない兵器キュービの姿を変え
サスケが｢好き｣と言ってくれる、"うずまきナルト"の姿へ……。
破れねーようにって脱いだ制服の上着で背中が破れた白いシャツの綻びを隠す。
制服の支給も厳しくなって来てたから、少しでも節約しなきゃな。
身を整え
小さな町の灯…
人が住んでいる暖かい灯を眺めてコンクリートのテラス柵みてーな塀上に肘をつき頬杖をつく。
そーだ、交換日記書かなきゃ……
サスケには渡せてない交換日記。
サスケからの文字は
オレが別れてくれと頼んだコトを書き記した、次の日の日付けから止まっていた。
俺に頼れ。
書いてあったのは
それだけ。
でも、それが嬉しかった。
オレはこの交換日記にサスケと名前をつけて
今日あったコトを毎日欠かさず
サスケに話しかけるよーに書き残していた。
何だか実際に
あのサスケへ話しかけてるみてーで
それだけで和んでくる。
こうして頼りにするコトに決めたんだ。
あまりにも知られたかねー、この戦争の現状とオレの本心……
こんなのサスケが知ったら、って思うと
それだけで心苦しくてオレまで不安になっちまう………――けど、オレの心ん中に閉じ込めておけるほど、オレは強くはなくて
だから、文字にして発散っていうか……
そんでちゃんと
サスケに頼ってんだって示して、てめー自身に一人じゃねーんだって……何だか言い聞かせてるみてーにしてる、うー‥んとうまく言えねーけど、そんな感じ。
ココには外灯がひとつあっから、その灯の下でページを広げ
蹲るみてーにして鉛筆でアレコレ書いてたら時間が経つのも忘れちまってたけど
まだサスケは来なかった。
何かあったんかなって少し心配になる…
交換日記帳を鞄ん中にしまうと不安が広がった。
携帯の時計表示をみっと、もう約束の時間から一時間以上経っててメールで確認すっかと文字を打つ。
送信しようとボタンを押すと電池切れって知らせる音がピーピー鳴ってワタワタ慌てたけど、どーするコトも出来なくて……
届けらんなかったと愕然とする……
もしサスケが連絡してきてくれたとしても
届かない……
どーしよ‥……
不安が募る
胸ん中にいっぱい…
いっぱい……
サスケの身が心配。
もしかしたら事故とかにあったとか、
色々いろいろ……
どんどんどん…不安になる。
兵器として内蔵されてるレーダーが勝手に動きだして信号を送りだす。
サスケを探し出すノイズを発しだす……
やめろって、いけないってオレがされていやなコトをサスケにしたくないって思うけど
心配と不安が止まんなくて
サスケの情報を送りサスケの情報を受け取る。
サスケの居場所を認識する。
よかった…
無事だった。
友達んトコなんかな…
でもジエータイの宿舎なんて……
何で？
………え‥っ？？‥………な‥に…？‥
脳裏にワケわかんない映像が流れ始めた。
『トモダチ……じゃないみたいだな？』
やだ！
もう……
……………見せんな。
見たくねんだよッ!!
嘘だ、
こんなの嘘だっ！？
ジエータイが
オレとサスケを離すために作った映像…だよな？
目ェ瞑っても
頭ん中に映る景色は消えなくて……
会話とかは耳障りな音に、かき消されてて…
髪の長いキレーな人…
やっぱりフツーの人と恋した方が幸せだと思う。
オレは大丈夫。
……強ェかんな。
その泣いてる人を守ってやって欲しい。
『ｵﾏｴﾊ必要ﾄｻﾚﾃﾅｲ‥』
ノイズが知らない機械声に聞こえる…
『必要ﾄｻﾚﾙ場所ﾃﾞ、ｵﾏｴｦ待ｯﾃｲﾙ。』
何だよ!!
誰だよ！!
こんなイタズラすんのはッ！
…………サスケ
助けて！
オレだって泣きてーんだ！
でも泣いたらキリねーから泣けねェ…
もっと
哀しい人たちがいる
寂しい人達がいる…
『偽善ｦ翳ｼﾃﾓ、ｵﾏｴﾊ兵器ﾀﾞ。人殺ｼﾀﾞ。』
｢……ぅ………うっ……うわぁああああーーッ!!｣
…………そうだ、
オレは人間だから苦しいんだ。
……弱いんだ。
強くなりたい。
強い心が欲しい。
強くなんねーと守れない。
強くしてねーと崩れちまう。
"ナルト"をデリって
完全にキュービんなったら……
楽になれっかな…？
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