幻のような透明の船。 その中は、赤く暗く… 人の体温ほどに暖かく。 朱色の太陽を映す道を真っ直ぐ奥へと伸ばし。 迷いもせずに道筋に従い足を進めていた。 暗さが広がる空孔の中へと進めば進むほど、何故か…その空間を知っている気がしてならなかった。 いや、 気がしたんじゃなく、 俺は知っていた。 何故だか 分からないないが ‥‥…この場所を。 暈けた仄灯から垣間見える、存在を隠すように周りを囲う透明な機械管。 柔らかくとしている床。 その先に 浮かんだ小さな白い光が俺の名を呼んでいるように思えて自然と足取りが早くなった。 辿り着いた行き止まりは広く。透明なる機械が多数、周りに蔓延っり取り囲んでいる。 そして…‥ その空間の中心には掌に乗るくらいの大きさの小さな白い光りが、ぼんやりと瞬いていた。 「……‥──」 言葉が、出なかった… 足取りも覚束かない‥ 嬉しくて… 嬉しくて… 壊れそうな小さな光りに近寄り、包み込むよう、両手を伸ばし開いた掌の中を見詰める。 「…‥‥ナル‥ト…」 『‥ココはオレん中‥…、何かさ、何か…ヘンな感じしねーか?』 そう恥ずかしそうに呟いた掌内の暖かく愛しい光は明らかにナルトだった… 『あのさ、オレさ、お前を最期まで守りたくて、こんなんでも、すっげーすっげー‥頑張って大きくなったんだ。 そしたら‥…───』 「そしたら…──なんだ?」 『‥…ごめんな。 これしか‥──残んなかった…』 「───…‥‥‥。」 何とも言えない想いが彷彿し唇を噛み締める。 何となく 理解が出来た…‥── 込み上げる衝動をひたすら抑え、続けられるナルトの一縷(いちる)な光を眼を細めて見詰める。 『……チューも出来ない。…エッチも出来なくなっちまった…』 『もう───‥、…‥‥……逢えないんだ…‥』 『…‥ごめ…‥──っ、…ごめ‥んな‥』 不安気に瞬く小さな光りが哀しみに暮れる。 それでも こうして存在を露にしてくれた。 約束を守ってくれた。 それだけで充分だった…。 愛しくて愛しくて堪らずに溢れる微笑み。 伝え切れない想い。 言葉にはならない感情。 感触の無い光の天辺にその唇を落としていた。 「…ありがとう 」 と告げるかに…‥。 俺の名前を呼ぶ声が震えてた。 噎び泣くように…‥ 小さく。 「…泣くな、馬鹿。」 『…‥だって!‥…ごめ‥ん…』 「謝るな。」 『…‥うん。』 カタチがどうだろうと変わらない。 以前と何ひとつ‥… “人間”としての 尤も大切な不変を俺の中に残してくれた… 語らなくとも残酷で過酷な日々と葛藤しつつも手段を選び、この日が来る事を怖れながらも、精一杯だったんだろうと想像がつく。 「‥お前、暖かいぜ。」 そう述べ頬を寄せると、はにかみ照れたかにナルトは瞬いた。 |