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Love sound-1



ほぼ突き出た片翼は崩れ落ち…──
細かな破片が白塵に混ざり、俺の足場を埋め尽くす。

焦げた煤朱は細かくと散り、風に舞い上がり吹かれ続く…‥





「‥…ナル‥ト‥」




悪いが

…‥──もう、


     疲れた‥





瞼が重い。



俺も
お前と、皆がいる場所に行きたい…‥





「……もう‥──、眠っても‥いいだろ?」


霞み行く意識に微睡みつつ酷く緩りと瞬いて呟くかに訊ねた刹那、地中深くから鼓動のような音が聞こえた。


    『ドクン‥』
と大きくひとつ。





その直後
大地が激しく揺れ、
不可抗力な力でナルトから離される。


罅割れる地が白灰や土砂を立ち起こし、楯となるかに俺を囲い視界を遮る最中、諸刃となった翼の支柱が崩壊した音を響かせた。





地が鎮まり、風も穏やかとなった時。
瞳孔へと宿った不思議な光景に釘付けとなる。





茜色の空色を背景に映し出す巨大で透明な何かが、掬い上げるようにして数多なる青白く小さな発光を吸収している光景が宿り、非科学的だが数ある青白い珠達が此の白灰の下地に埋まってるだろう人々の“魂”に思えた。




全てを収集し終えた頃合、空に浮かぶ巨大な“船”と思わしき透明なカタチが幾許か傾き、下方にある“入口”を開け、薄い光の柱を地に降ろした。





   ……──助かる



瞬間的に
本能がそう捉えた。




しかし、
助かったから何だという?



俺一人で
果たして何が出来る?



多くの生き物達の命と引き換えに此処まで来た意味は
もう、‥無い。




『‥…サスケが、オレに生きろっつったんだろが!!』





「…‥!!?‥」




…そう、だった。


生きたいと願い望み
ナルトを怒鳴りつけたのは俺だ。



なのに、諦めていた。




微かだが、確かに
風に乗って
背後から聴こえた罵声。


その声に驚嘆しながらも改め、地を踏み締め決意を下して顎を引き、息をクッと飲み込んだ。

そして
懐に収めた欠片を握りれば、その感触に現実を知らされる。



止んだ風が一陣、吹く勢いで背中を強く押される。



もう、
声は聞こえやしないが





確かに呼んでる…



   俺を…‥

   必要だとして‥──






魅せられたように
導く光へ数歩進むと、くっきりとした形が分からない“船”は次第に俺を誘い、朧気な光で全身を包み、開けた“入口”の中へと運んで行った…




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あきゅろす。
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