Promise_5※キバ
「キバ!起きたかい!」
「うー‥うっせェなぁ母ちゃん…」
「ホラ、寝ぼけてないで外見てみな!外!」
「ゲッ!なんでこんなに真っ赤なんだよ!」
「あたしだって知らないよ!」
母ちゃんごときが知ってたら逆に怖ぇぜ…
「あー‥、何かもうヤバいかもなァ‥」
続けざまに現れた
姉ちゃんまでオレを不安にさせる…
「こんな世の中だし、いつかは終わんだ、仕方ないね〜‥」
終わり?
何が?
戦争が?
いや、違ェ…。
そうじゃねーコトくれぇ、オレにだって分かんぜ。
あいつとの約束果たせねーまんま、いきなり最終回なんて…ありえねー!
「着替えっから二人とも出てけ!」
喧しい母ちゃんと姉ちゃんを部屋から追い出し着替え終わるとありったけのジャーキーをポケットに詰めこんで赤丸を連れ玄関へ。
「どこ行くんだい!この子はっ!こんな天気の日にさ!」
「許せ、母ちゃん!こんな日だからこそ、アイツとの約束を守りてーんだ!」
終わる前に逢いたい!
そう想い
家を飛び出し走った。
赤丸と一緒に…
秋桜畑まで、まだまだ…
どんだけあんだか…なって考えた時、赤丸がワンワン吠えて立ち止まった。
………そして
暫くするとデッカイ地震がっ!
「うオォーー!」
道に伏せる恰好に自然となっていた。
赤丸を抱えながら……
少し前の地震と変わらないか少しだけ小さいか…。なんて比べてもしょーがねェし分かんねぇ!!
でも…、長かった気がした。
地震がおさまって走り出した後も何度か小さく地面が揺れた。
それでも赤丸を連れて走った。
走り続けていた。
どんなに息が上がろうと、全速力で走っていた。
約束した
秋桜畑が見えるまで……
やっと秋桜畑を目にしたオレは安心しちまって走る事を止め、息を整えながら歩いていた。
「秋桜畑って言うほど、花、咲いてねーのな…。」
昔は四季なんてもんがあったみたいだけど、そんなもんねーし
第一、手入れも出来ない状況じゃあ一面に広がる秋桜なんて無理だよなぁ。
目前まで来て、いくつか咲いてんのが分かった。
「白に、黄色……が、一本、二本〜…っと。」
歩きながら
咲いてる花を目で追い、指差して数えてた時、いきなり空が真っ黒な雲に覆われはじめ…
赤から黒に
変わってく空がやたら不気味で
凄ェ怖くて動けなくなっちまった。
「…あ、……ぁ……──」
終いにゃ怖くて声も出ないまま、足をすくわれて空をただガン見してた。
あんなデカい太陽を隠す黒い雲を怖ェと思わねー奴なんて絶対ぇ、いねー…
夜みてェな色に変わった空。今度はオレンジを混ぜた光が柱の形をしてバッとアチコチに降って、光って…墜ちた。ドンッドンッ…ドンッドン‥――と。
デカい音と一緒に地面が飛び、跳ねて、割れた…
「…な、……なんだよ、コレ‥…。なんなんだよォオオーー!!」
耳の悪いオレでも
その光が墜ちたデッカイ音に驚いて耳をふさいでいた。
身を屈めて小さく蹲って。
怖くて、怖くて……
しょーがなくて…
シカマルの名前を心ん中で呼んでいた。
何度も何度も。
それからすぐに雷がバリバリなって顔をあげる。
空がビカビカ光って、少ししてから
ザァアアアアーっとバケツをひっくり返したように雨が降り出した。
「ひゃあぁぁ、何か本格的にやべーぜ!」
赤丸を急いで懐にしまおうとした瞬間、
するりと腕から赤丸が逃げた。
「オイ!!赤丸!」
赤丸は到着した秋桜畑とは反対の方向に走っていった。
「赤丸――!!…オマエ、どこ行くんだよォオオ!」
「…う〜〜‥──、ワン、ワンッッ!」
暗い空
どしゃ降りの雨の中
赤丸を追いかけると
赤丸は立ち止まり
振り返って
『コッチ来ンナ!ソコデ待ッテテ!』
と、伝えるように唸り鳴いて
どっかに走っていった…
「…あ、…赤丸ぅう━―ッ!!」
暗い空間に木霊する
オレの叫び声を遮るように雨音と雷が響き渡った…
動物は危険をイチ早く察知する……
赤丸、お前とも一緒にいたかった、…のによ。
一人残された場所は
暗くて冷たくて……
涙が溢れてきた…
「ジャーキー…まだ食ってねーじゃん…」
ポケットにしまってある赤丸のジャーキーを握りしめ唇を噛み締めた。
でも堪えきれなくて…
「…赤‥丸…、うわぁああああーー‥ッ」
暗く稲妻光る空の下
立ち尽くして
空を見上げて
簡単に予測出来る
赤丸の未来に泣き叫んでいた。
赤丸が『ココニイロ』と示した
アイツと
約束した場所で……
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