Promise_1
濃厚な紅を示す太陽…それしか存在しないと主張した空…
……丸く赤く
ただ一面広がっている…
これが……
合 図
動く事も出来ず
ベッドの上で
紅色に染まった景色を眺めていた。
部屋に射し込む陽色も緋で殺風景な壁を彩っている…
…言葉さえ出ないが
不思議と恐怖はなかった。
ナルトに逢える
そう
懸命に言い聞かせていたからだろう…
広大な朱色の次は
『真っ黒な雲が…』
だったな。
ベッドから腰をあげ着替えて間も無く
鈍い音が下から響いた。
それは二階に居ても分かる程で危険を察し
階下へと降り
父さんと母さんの身を案じて廊下を急ごうとした時、グラリと大きく揺れた。
「きゃあぁーーァ!」
けたたましい物音混じりに母さんの悲鳴が台所から聞こえる。
「…ぐっ!」
何度か訪れた地震で弛んだ地盤
耐震に劣化した建物が激しく揺れ、うまく歩けない…
この跳ねる縦揺れが始まってから何分、過ぎただろうか。
いや、そんなに長くはないか……
徐々に弱まりかけてはいるが…
『それから
空が真っ黒んなって』
まだ赤い太陽の色に染められた……空
『雷と雨が酷くなってそんで暫くしたら…』
雲なんざ一つも見当たりそうにない…──
『前よか全然おっきな地震が来っから気ィつけてな。 』
何度もきた地震より少し大きい程度だ。
大きな地響きが治まり台所へ急ぐ。
家屋の崩壊は免れたが立付が悪くなっちまってなかなか戸が開かない。
「母さん…!」
やっと開き台所に踏み出す。
「お前は大丈夫だったか…?」
床に伏せた母さんを守るように包み抱く父さんの姿を目の当たりにする。
「…ああ、大丈夫だ。」
こんな口調で父さんに話した事はなかった…
何故か
自然と口にしてた…
「母さんはオレが守る。心配ないぞ、…サスケ」
「びっくりしちゃっただけだから大丈夫よ。」
微笑む母さんの
父さんにしがみ抱く手が震えていた…
母さんも父さんも
分かっている筈だ。
言わなくても
異様な空と、
今の地震と……
止まない戦争から…
残された地としてこの町に沢山の輩が流れてきた事も含め…――
覚 悟 を決めているのだろう。
「…俺も…──行ってくるよ。」
約束を守りに…
「……ああ、気をつけてな」
「サスケ、…必ず元気で…」
「ありがとう。」
父さんと母さんは避難をせず、あの家の中で
二人揃って変わりなくと過ごすだろう…
それが…
言わずとした約束。
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