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Surely tomorrow(きっと…)


微酔いのデイダラを荷台に乗せ、奴の自宅へと自転車を漕いでいた途中
『降るような星空の下、イタチとサイクリングがしたい‥』
と呟く声を耳入れる。

籠に入れた兄、イタチの遺品を奴そのものと見立てたのだろう…

デイダラの意を汲み自転車を降り…
ふらつきながら運転する何処か幸せそうな
デイダラの後姿を見送ったその帰り道、級友達に出くわし
現在、そいつらの目的とする場所へと向かっていた。


絡みつく腕を
うざいと感じるが…
こいつの事だ。
邪険に扱えば殊更煩いと想定がつく…━━


これがナルトなら‥…
などと叶わない思いを馳せ、許諾したフリをしておくのが妥当などと己に言い聞かせ、
懐中電灯の光だけを頼りに鬱陶しさから足早と歩みを進める。



「もう、相変わらず照れ屋なんだからァ〜!」

「……サスケくん…照れてるとかじゃなくて…凄く嫌な顔、してるよ?」



離して欲しいとの願いはどうやらヒナタにしか伝わらないようだ…


漸くと辿り着いた時、やっと抵抗ならぬ煩わしさから開放され安堵した息を一つ外気に漏らす。


「ここよね〜、サクラのって。」


サクラの眠る墓石が懐中電灯の円取った灯に照らされると
墓石下に置かれた
特徴ある帽子と既に飾られた花が映し出された。


「…これって、‥秋桜だったよね?…いのちゃん。」

「そうよ、いつの間にかもうそんな季節になってたのよね‥」

「…秋桜、か。
アイツのイメージみてぇだな。春でも秋でも桜は桜だしよ…」

ヒナタの質問に花屋を営んでいた、いのが答え、シカマルが過ごしやすい季節に咲く花をサクラに喩え儚い笑みを翳した。

「きっと昼間、誰かがここに来て置いてたったんだわ。でも…一体誰が…」

「うぉ!コレってジエータイの帽子じゃんかよ!」

飾花の様子から今日の事と決定つけたもの、該当する輩が居ないと首を傾げる、いのの間を割って持っていた懐中電灯を照らしつつ前に勇み出、言うな否や素早く置かれた帽子を手に取り眺めたのはキバだった。


「うひゃあァ!これって一佐とかのモンだぜ!」

しかも上官の物だと
付け加え、はしゃぐ声。

まさか…



「貸せ‥!」


「なっ、なんだよサスケ!」


簡単に引ったくった帽子に目を凝らし、昼近くまでは傍にいただろうナルトの服装を思い起こしていた…





幾度も愛し合い
微睡みを共有し
仰向けた姿勢で寝転がっていた時、微かに
視界入った四角いコンクリートの屋根上に
鍔の形と斜めの厚みがありそうな帽子が確かに置かれていた…

その場では気にも止めず、ナルトとの甘い時間に溺れ
深くと眠り、愛し続け……――


陽が暖かいと感じ目覚め頃合には消えていたナルトの姿…

目にする事は出来なかったが
恐らく、勲章のついたこの帽子を深く被り
途中で偶然なのか知ってかはわからねーが、名に因む花を摘み
此処に来たに違いない…




「サスケも興味あったんかァ?こーゆーのによ?」


共通する趣味と決めつけ灯を宿すキバの言葉は耳を素通りし

ナルトの残像を帽子に照らしていた…‥




ナルトが此処に来た証と確信した矢先に
熱い感情が込み上げた




「――…ナルト…」



不本意にも帽子を抱き締めていた…


…強く



…‥強く。


押し殺した名を刻みつつ……



「…サスケ‥お前――」

俄かに漏れた声と灯に反映した行為を見抜いた様子で弱々しく語尾を閉ざすシカマルに肩を叩かれ我に返る。


「これはきっとサクラにって誰だか知んねー奴が見舞ったモンだからよ?」

そんな事は分かってる…
サクラへの餞だとな


「……──、…ああ。」

終わりを知ってるからこそ、ナルトが存在を示す物に

ナルトが踏みしめた場所に
アイツの面影を描いたにすぎん…



「なんだよ、サスケも相当なマニアだったんだな!」

耳の悪いキバには届かなかったが鋭いシカマルには悟られた気がした。

いや、気じゃねーだろう。

奴は勘付いた筈だ。


希望があれば学生も入隊出来たらしいと耳にした。


だからか
ナルトがそこに務めていても可笑しくはない。

しかし何故か俺は焦っていた。
秘密を知られた気がした…
俺とナルトの二人だけの秘密を……――


常日頃を装ってはいたが、内心‥知られてはいけない一部を掻い摘ままれた気がしてならなかった。


そんな予兆すら冷静に考えれば皆無だが…

何故か理由もなく
一連から唯
シカマルとは目を合わず…――
元の位置に手にした帽子を置き、一歩下がり暗がりに逸らすかに前で広げられる光景を瞳に宿し奴から逃れた。



「秋桜には負けちゃうけど〜、気持ちだからね。受けとっておきなさいよ!」

秋桜と共に花を挿す
いのと小さく微笑むヒナタの
墓前で手を合わせる背中に標準を合わせ
続け様に
振り向き下がる二人に促されもせず、元気良く墓前に踏み出たキバが跳ねた様子で屈み込む姿を眺めていた。



見透かされないように
誤魔化したく……──

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