[携帯モード] [URL送信]
NARUTO


「いつ終わるんだ?
こんな不毛な戦い…」

「俺の生まれ故郷もとっくになくなっちまった。家族も友人もだ」

「ああ〜、早いトコ楽になりてーなァ。」


「キュービのNARUTOちゃんに会いたい、ってか?」



「うわァアアア!!ちくしょう撃たれちまった!」


「やべー‥敵に見つかったか…」







砂漠が広がる異国の戦地に不似合いな轟音がけたたましく響く。


離れた日本と違ってこっちは夜で……



早く飛ばねーと

もっと早く!



少しでも誰かが哀しまないですむよーに…。

痛い思いしないですむよーに……











やっと到着したと気を抜いた途端、戦闘機から人の姿へと移り変わってくのが途絶える意識の中で…わかった。


「おい!アレ……空見ろ!」

「敵機か!」

「違う……」

「…天使…みてーだ…」

「ブロンズの髪に翼……、死神にしては随分とカワイコちゃんだな?」


ゆっくりと降下する中、わかんない言葉が頭に入ってくる。



どよめく声……



何人、生き残ってんだろ?


砂地に素足をつける頃に意識ははっきりとして目を開ける。



「ブルーアイにブロンズ……背中の翼……
間違いない…天使様だ。」



「ええっと、オレってば英語とか弱いから全然、わかんねーけど、助けにきたってばよ。」

何だか拝むみてーに地に伏せったりしてんのは、わかるけど……

うーん、日本語わかるヤツとかいねーんかな?


「アイアム、ナルト。キュービオッケー?」


「オー!NARUTOー!!」


すっげー歓迎してくれてんのはいいけど
もう、やべーんだ。

後数十分しか時間ねー‥。ミサイルボタン発射されちまったかんな。
それまでにこいつら何とかしねーと。


「ランナウェイ、アッチーー!ハリーポッター!!じゃねー、ハリーアップ!」


身振り手振りで何とか退散するよーに、オレ一人に任せとけって
示したら、わかってくれたみてー。

英語、勉強しねーと…ってこんな時は特に思い反省……
帰ったら、サスケに教えてもらおっかな。アイツは、成績も優秀だかんな。



あ!怪我してるヤツいんじゃん。
大丈夫なんかな?


肩担がれるオッサンの側によりオレも手伝い車へと運んでやった。


「……あのさ、カタチ悪りィけど…ジャパニーズオニギリオカーカー、これ食って元気だせってばよ。」


「Oh‥Japanese junkfood‥Thank you‥NARUTO…」

涙して喜ぶオッサンの顔が嬉しい。


「オレの握ったおにぎり。オカカのおにぎりってのは大好きな恋人サスケの大好物なんだ…。本当はサスケに渡すハズだった、でも今日は出来なくて、さ。……だから、サスケの代わりにオッサンにやる。一生懸命作ったから、きっとうめーぞ!」


「…SASUKE、…NARUTO……アリガト。」

カタコトの日本語も嬉しい。
命を守れたコトが何より嬉しい…
こんなオレでも…
出来るコトはたくさんあって喜んでもらえんだってェのが本当に嬉しい。





撤退し走り去ったジープを確認してから再び空へと翼を広げ機体へと変化し敵地へと乗り込む。



大丈夫…オメーら一瞬で天国に行かせてやっから。



全部……一緒に
故郷と恋人と家族と一緒に天国へ行けば哀しい想いをしなくてすむ。


寂しい想いも
痛い思いも……
苦しい思いも……
怖い思いも…―――








罪悪感すら
オレが全部、引き受けてやる!




だから

安心してゆっくり眠ってな?






「…うっ、……ごめん……ごめ……んなァ…」




"ヒト"としての意識が失せる。
オレは兵器と完全に化して……


国を丸ごと
瞬時で消し去るモノを体から、ぶっ放った……。






静かな砂の大地を揺るがす轟音。
夜なのに一瞬だけ昼間かと思うくれー光った空。

独特のカタチをした大きな煙りが天国への階段みてー‥






また、ひとつ大地から消した。





非情となった兵器……
…破壊するコトしか
出来ない兵器…



何も救えねーのは
わかってる……




でも、
絶対に守りてーモンがある。


何を失っても……











おしごと、終わった途端に芽生えるヒトとしての意識……







………帰りたい。


…………早く帰りたい。





……帰るんだ、オレの守る故郷の国へ……









…早く……帰んなきゃ…













………早く……
















一刻も早く……





サスケに逢いたい……










[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!