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Paradise blueー8

居間への敷居を跨ぐと黒い正装を身につけ木箱と茶褐色に汚れた写真を卓袱台に置き
正座するデイダラの姿が目に飛び込んだ。



「久し振りだな、うん。」


「サスケも其処に座りなさい…。」

静かで低音な父さんの声に促され、決められたかに座っているいつもの場所に腰を降ろした。

淹れたての茶を汲んだ湯飲みを並べる母さんも父さんの隣へと正座し、デイダラが一礼をして唇を開かせ、うちはの家を捨てたイタチと自分との経緯から、先ず話はじめ
父さんと母さんにイタチの死を知らせた…。



「恐らく己の正義を貫き国を守り大切なものを守ったのだろう…」と瞼を伏せた父さんの声に、呼吸間をあけて俯いた侭だったが、「真実を話してくれてありがとう」と母さんが礼を零した。



デイダラは骨も遺らず終いで預けられたのは、この二つの遺品だけとして木箱を開け、良く磨かれたデカい拳銃が晒し……――
そしてこれはイタチ専用の特別な銃だと知らせ、デイダラはこれをうちはの墓に納めて欲しいと深く頭を下げた。


「せめて遺骨の代わりに…、有望されていたイタチをこんな形でなんて…申し訳ないけど…、お願い…します…。」

床に頭をつけて見えない表情は涙声で簡単に察する事が出来る。



組んだ腕を解いて茶を飲み干した父さんの口が開く。

「一度でも、うちはを捨てた輩を墓に入れる訳にはいかん。…済まないが御引き取り願おうか…。」


そう言って
席を立つと襖に手をかけ敷居を跨ぎ、振り返らずに咳払いを一つ弾ませる後肩。

「気が向いたら、また遊びに来なさい…。」




「ごめんなさいね?
あの人、ああいう人だから…。」

母さんが笑顔で
不器用な父さんの言動を更に理解して貰いたくと付け足す言の葉を添えた。




デイダラも涙を拭い、母さんに笑顔を向けた。



やっと
認められたとした
嬉しそうな笑顔を……。




足音が廊下に軋まない事から父さんは恐らく閉ざした襖向こうに佇んだ侭だろう。



「ねえ、デイダラさん。よかったらイタチの話を聞かせてくれないかしら?」


「は、…はい!イタチの御母様!」


「あら、お義母さんでいいわよ。ふふ‥」

母さんがデイダラの肩を優しく叩くと
畏まってた肩が再びと震えた。


「……‥…――うん、…ありがとう‥お義母さん…」

笑顔に流れる涙を拭い、茶を啜って安堵した息をひとつ吐き出すと、俺も知っている
あの特有な口振りと
普段の体裁に戻し
父さんが襖の向こう側に居る事をまるで分かっているかに大きく明るい声で、兄さんの事を語り始めた。




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あきゅろす。
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