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Paradise blue-5※sideナルト

オレは誰よりも何より強くて無敵な最終兵器。
もう人間としての部分、感覚や感情なんてない。



だけど

もう一度

この教室で…

この学校の制服を着て


逢いたい……



サスケに

みんなに……――。




おはよーって笑って
挨拶をして



昼んなったら
クラスの仲間に
からかわれながら


サスケと屋上に登って

オレの作った弁当広げて

コゲのある平っぺたい卵焼きと
火星人みてーなタコのウィンナーと
繋がったマンマの
お新香と
三角に握れてねー
おかかのおむすびを


一緒に食いたい…‥






もう


叶わないフツーの生活




通り過ぎた時間…



戻らない…


あの日、あの時…




でも

そんな時間があったからこそ


決意ができた。




最後まで守り通すと
誓った。



もう迷いはねェ。

だけどさ、
だけど…


本当に本当は…――







「サスケ、お前のコトなんか、思い出しくたくなかったんだってばよォ!!」









本音いうと闘いたかねェ。



みんなが
好きだから……


いやだ。




知りたくなんてなかった…



知らない方がいいコトってたくさんある…






オレ以外、誰もいねェ教室に響いてた。


弱いオレの咽び泣く声が……


サスケの机を抱き締めながら


わんわん…‥――




夕陽さす窓辺の後ろから三番目の席に頬をつけて
泣き崩れたマンマ



ぼんやり教室を眺めてた…


「そこが…サクラちゃんの席で…」


「あそこがヒナタそっちがシカマル…その隣がキバの席で…――」


こっちの窓寄りの前の方にあの席がオレの席。

背凭れに寄っ掛かって椅子の足を傾けて
…授業中にサスケをみたりしてたっけ。


あいつと視線が合うたんび嬉しかったな。



一段高い教壇には先生が立ってて…


あっ!?
そういや
アスマ先生と紅先生の赤ちゃん…もう生まれてんだよな?


元気で
生まれたんかな?


目を閉じて座標位置を確認……







小さくて、
あったけェ命が一生懸命、おっぱいを飲んでる映像が頭ン中に映し出された。



紅先生のあんな優しい顔、はじめてみたってばよ。
アスマ先生なんて鼻の下、すっげー伸ばしてやんの!



よかった、

元気そうで

幸せそうで…



こんな世界でも
あったかくて幸せな場所があって、よかった。


オレばっかが幸せじゃなくてよかった。



「アスマ先生と紅先生のこっこ…カワイイ‥」

空っぽのお腹を無意識に擦ってたら
まだオレの中と皮膚に残ってるサスケの感触が、じん‥として
動いちゃいねー心臓がドキってひとつだけ跳ねた気がした。



アスマ先生んちから
ヒナタんち、
シカマルんち
キバんちを辿って町の小さな灯を目にする。


配給の飯を校庭で…

まだ蓄えがあり温存してるモンを少しずつ
自分んちで

豪華じゃなくても
家族で囲う食卓の風景はどこも幸せそうで安心した。



オレがしてきたコトに意味があってよかった。



最後に
サスケの位置を認識してホッとする。

あいつも飯を食っていた、父ちゃんと母ちゃんと……




「…サスケ。」




サスケ
サスケ
サスケ
サスケ


「サスケェ━━━‥」


サスケでいっぱい…


頭も身体も…







一方的な約束だけど


あの場所で


また……――。



それだけのために
オレは……











サスケの映像を横切る発信に顔をあげ立ち上がる。


「へっ、…感傷に浸ってる場合じゃねってか。」



教室を出て

屋上へと急ぎ

空を見上げ

背中から飛翼を突き出して…真ん丸お月さんが浮かぶ夜空へと
オレの象徴である九本の尾翼を広げた。




唯一、安全とされ
残されたこの地は…



サスケは……


オレが必ず守る!





人間に造られた
最終兵器として
できるコト



元人間だったから
わかる生き物の
痛み…
幸せ…


そんなオレにしか

できないコト……



サスケがいるから

できるコト……――




今、この愛を捨てちまえば

守るものも何もなくて


すぐにでも“楽”に
なれっけど…




もう
忘れられない


忘れたくない


沢山の後ろ姿がある。




『強くなりたい』って、ひたすら願ってた。
風を切り
視界に流れる星々に

あの頃から変わらない思いを、
変わらないこの空に……。







サスケに負けたくないって、
いつか追い抜いてやるって、
坂道を登ってた………




あの頃の






弱いオレに戻って


こんな
高いトコからじゃなくて…



あいつとみんなと



同じ身体で


同じ景色を眺めたい――…

2cm.瀬名様

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