love song-3
ナルトの姿を失って直ぐ様、俺は立ち上がり視界に入るカカシと言うナルトの上官と思われる奴に睨みを効かせ詰め寄った。
「せっかくのトコみたいだけど緊急事態なんでね、すまんがナルトを借りて行くよ。」
その口調…本当に悪いと思ってねーだろ?
「…アンタの家族、…もし恋人やらがいるなら、俺が同じような目に合わせてやろっか?」
ナルトと同様
体を心を痛めつけて監視し、あいつを理解させ俺の気持ちをも、こいつに理解させたい…。
ナルトにこんな事を洩らしたら、「やめろ」と真っ先に止められちまうだろう。
それに俺には
兵器を作る腕も知識もない…
だが、そんな心境だった。
「…家族や恋人か。
…残念、こないだの東京空襲で…みんな先に逝ってしまってね。愛する人も家族も…だよ。死に水さえ汲んでやれなかった…、任務でね。」
そんな深刻な出来事を初めて会った俺なんかに何故サラリと話す?
何だかうさん臭ェ奴だ。ナルトはこんな奴に管理されたりするのか?
腹が立つ……この上なく……――。
「……――なら、分かんだろが!……人としてのアイツの気持ちをよ…!!」
「…想い慕う気持ちはオレなりには理解してるつもり、だけどね仕方のない事なんだよ。」
「…何でも仕方ねーだとかで誤魔化すつもりか…!」
大人は………
嘘付きだ。
特にこいつは油断ならねェ…。
飄々とした風貌や物腰、口調からして読み取れる。
「ま、若い諸君に割り切れと言う方が難儀だけど。」
「ナルトは…まだ17なんだ、……そんなガキを玩具にしやがって!」
「オレもさ、個人的には戦争なんて反対してる。…そしてナルトの想いを大切にしたいと思ってる訳……あいつの思考、サスケ、サスケってお前ばかりだしね。」
「……なっ!……」
「このこの〜、憎い憎い、ああ見えてもナルトは世界のアイドルなんだよ?レンタルNo.1の人気者でね。そんな子を独り占め……なんて、さ!」
態度を豹変させたかにおどけ、気安く肘でつついて来るこいつが益々と憎らしい……
「レンタルだと?
まさか、イカガワシイ事とかじゃ‥ねーだろな!?」
「ははっ…ナルトに悪戯しよーとする勇者はお前だけだよ、サスケ。」
そうか、
俺は勇者だったのか…。フン、当然だ。ナルトは可愛いからな、隙あれば……だ。
「レンタルってのは、海外派遣だよ。同盟国へナルトを貸してやったりもする。アイツの髪は眼の色は受け入れ易いのもあって大好評でね。
もう幾度かナルトは出向いて貢献してる…。アイツね、一人で全部しちゃうんだ。……少しでも痛くないように一瞬でカタをつけるとかってね。」
「…………どういう意味だ?」
訊かなくても何となく理解は出来た。さっきの出来事からもあったが……予期は出来る。最終兵器として……
恐らくは危険過ぎる物をあの体に納めているのだろう…と。
「みんな一緒に……とか、苦しむのは自分だけで、とか思い込んじゃってるか……。或いは……――単なる合理主義…なのか。それは解らないけどね。」
………ナルトは
オレには深刻な事態を一切告げない。
いや、何となく伝えては居ると認識はあるがあのナルトフィルターからは、読み取れない部分が多々だ。
だからか、
話を聞き流しちまったり深くは追及出来ず……――。
「…ナルトは……"人間"だよ。…若いのに立派な思想や"夢"を持った、一人の…ね。……サスケ、勿論オレもお前も同じく、だ。」
俺の肩を跳ねた手が
まるでナルトを頼むと呟いた様子に思えたのは、口八丁な便宜に施されちまってた所為かも知れない。
そうして奴も俺の視界から消え、学校へと向かうよりも咄嗟に借りちまった自転車を元の場へ戻さねーと、と
止め倒した自転車を起こし漕ぎ出す。
林道を走る中
ナルトからのメール音が制服のポケットの中で鳴り響いていたのに気付き、自転車を止める。
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ナルト
サスケ⇔ナルト
──────────
今夜、
がんばった御褒美がほしい。
初めてキスした
あの場所でサスケに逢いたい…
帰ったら連絡入れっから。
そんじゃ
おしごといってきますってばよ!
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俺も逢いたい。
今すぐにでも
ナルト、お前に…――
開きっ放しの携帯を手にしたまま、ふと青い空を見上げると朱色の戦闘機が物凄いスピードで雲を過ぎって行った。
札幌で見た時よりも
確かに機体は大きくとなっていたのが……
分かった。
座右の銘は
『強くなりたい』
俺も、強くなる……
お前になんか負けてたまるかよ…。
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