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Paradise blue-4※sideナルト


仕事に行く前に
サクラちゃんの墓へと赴いた。

線香はねーけど
手ェ合わせて
沢山『ありがとう』と『ごめん』を唱え、
パンパンと手ェ叩いて懐かしい場所へと歩いていった。





この坂、
サスケの背中を追って走ったっけ。



サスケはいつも平気な顔してオレよりも前を歩いてて、追い越すコトはできなかった。




潜る校舎も
この廊下も
サスケと手繋いで歩いたんだよな。



この階段も
サスケよか一歩遅れて登ってたんだっけか。



三階の真ん中にある教室がオレとサスケのクラス…だった。



今着てるヤツ、
制服には違いねーけど学校には似つかないよな…。



ここは
もう“学校”じゃなくて“陸上自衛隊北方連合基地”だったな。



溜息を吐いて
扉を開けると、一斉にオレへと敬礼が向けられた。



「ご苦労様です!」



窓辺に目を向けっと校庭には沢山の自衛隊員とフツーの人たちがいた。


「何だか人がいっぱい居んのな。」


「はい!残された敵の襲撃から国民を守るため全国から集結しましたァ!」


「この町が安全だとの呼び掛けに集まった人、生き残った国民達を命令通りに此方へ導きました!」


「ご苦労さん…っ、ああ〜っ!ソコ!」


指差し声を張り上げたのはサスケの机を見つけたから。

「は、はい!何でありますか!」


「その…机……オレの…大切なヤツのなんだってばよ。」


「あああ!た、大変失礼しました!今、武器を退かしますから!」

片付けられた
サスケの机に近寄ってサスケの机に触れてみた。


「何ヵ月か前なのに
懐かしい…なんてオカシイよな…」


「いえ…。自分も同じような事を思いますよ。」

名前もわかんねー隊員が一瞬、堅苦しい面持ちを変えて寂しそうに笑った。


机から伝わるサスケの映像……

あいつは朝、
出欠を取る時
いつも両肘を立て
口元で手指を組んで
猫背気味に座って…

名前を呼ばれっと
片手を軽く持ち上げるだけで、返事をすませてたっけ…。

ココに集められたジエータイのヤツらも
きっと逢いたいヤツがいるハズ…


無事に帰ってくんのを待ってるヤツがいる。

デイダラみたく
寂しさを我慢して……



「伝令ェ!、みんな解散!そんで大切なヤツんトコへ帰ってヨシッ!」


「え!解散ですか!!」

「最終決戦に向けて各地から選りすぐりの隊員と志願者が―「オレが一人で一気にやっちまうからオメーらはいらねェ‥」


驚いて丸めた目
ざわめく声。

「お前たちがココに居たって大して役にたたねーし。逆に足手まといなんだ。だからさ、今からみんな家に帰れってば。」


「それは困りますって!上から叱られますし…それに…」


「…んなら、もっとオメーらや上の連中が困るコト…してやろっか?」


フフンってサスケを真似て笑いながら
目の色を赤に変えてみせっとジエーカン達の顔色が一斉に青褪めたモンに変わってった。

「…は、は、はは!はいィィ!あなた様の…御命令通り我々は只今を持って解散しますッ!」


隊長であるヤツが
震えながらビシッと敬礼をして上ずった声をあげたのが何だかオカシくてクスって笑っちまった。


「ん!わかればヨシッだってばよ!そんじゃ、みんな自分の大切な人んトコに行ってな!」

「あの、本当に大丈夫ですか?何かあったら直ちに…」
「…ありがと、大丈夫だから安心して家に帰んだぞ!」

「はっ!」

「寂しかった分、頑張った分、いっぱい、一緒にいてやってな。」

バイバイって笑顔で手を振らせてくれて
ありがとう。



家族がいるヤツ
恋人がいるヤツ
友達がいるヤツ

上層部のヤツら…

味方とか敵とかにされた国の違う連中
お前らは知らねーけど……オレとサスケだけは知ってる。


もう…━━
最後なんだってコト。



最後に
小さくても幸せを感じて欲しい。
オレができるコトは
こんぐらいしかだから。


そんなコトは言わず
心ん中でとどめといて
みんなの背中を見送り
「元気でなァー!!」と
笑顔で叫んだ後




教室に一人佇み


サスケの机に突っ伏して

この机に染み付いた
サスケの残像を頭ン中に描いてた。






そしたら
サスケに逢いたくて逢いたくて堪らなくなっちまった。





オレってば
やっぱ、サスケの言う通り……バカ、だ。



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あきゅろす。
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