Reflex-3
背後で
トンとコンクリートを跳ねる音がして
振り返る。
すると其処に
ナルトのカタチをしたヤツが佇んでいた。
「誰だ、お前…」
表情のないナルトのカタチに突拍子もなく尋ねるとナルトの声が耳に飛び込んだ。
「お前が『サスケ』か?」
抑揚のない声
曇りかかった蒼瞳
血色失せた皮膚
こいつは俺の愛しい
『ナルト』
ではない、
ただの『九尾』だ。
「…だったらどうなんだ?」
「ナルトの記憶が突然蘇り、ナルトの元の姿に分子を変えて此処にきた。何故かそのノートを持って。それの意味が解らないが、お前が体液を目から流しながらノートを読んでいる姿にナルトが反応した。」
「ナルトはまだ…」
「ナルトが『サスケ』に伝えなければと俺を阻止してな…。時間が無いと言うのに勝手な奴だ。」
ナルトが存在していると知り、胸が熱くなり俺は九尾を腕に抱いていた。
「何をする!無礼者!」
「……ナルト、居るなら少しでいい。応えてくれ!」
「ナルトを呼ぶな!
殺すぞ…お前!」
「ナルトに会えるなら……別に構わない‥」
力は恐らく九尾の方が上だろう。
しかし本気で振りほどこうとはせずに腕内にいる九尾はナルトの姿をしてナルトを現している。
それが……ナルトが確かに存在していると言う応えだと認識するが、ナルトを抱き締めたい。
「………殺すぞ、…『殺さないで!』」
「ナルト…か!」
一段と腕の力を強めて頬を擦ると
冷たい頬に雫が流れた
「体液が…何故‥?
お前にこうされてると嬉しいとか言う人間の感情が表れる。
……これは何故だ?」
「……ナルトだからだよ。」
「……ナルトは完全に俺が喰った筈だった。なのに今更記憶が蘇り、ナルトの姿を取り繕った。俺はナルトに浸食された侭なのか?」
自分でも理解不能とする九尾は俺の背中に腕を回して俺を引き寄せた。
体温はないが
ナルトの温もりが伝わってくる……
愛しいナルトの香りが広がる……
「ナルト、…お前に会えるとずっと信じてた…」
「……サスケ。
…サスケに会いたかった‥。だから…、頑張ったとナルトが言っている。何故、俺はこんな事をお前に伝えてるんだ?」
戸惑う九尾はナルトだった。
俺は僅かに距離を取り、頬に触れ
そしてソッと触れるだけの口付けを……
「………っ…、唇と唇を合わせる…。これはキス。鳥や人間が表わす愛情表現のひとつ……、何だか胸が締め付けられた。お前は男なのにな。」
「お前が何であれ関係ない。ナルトに愛してるを伝えたい。…それだけだ。」
「…サスケ、もう一回したいとナルトが言っているが……」
「…ああ、いいぜ。何度だってしてやるよ…」
瞼を閉ざした九尾を盾にねだるナルトへと
重ねた唇。
徐々に深くと舌を差し入れれば拙くも俺に合わせてナルトの舌が擦り揺らいだ。
「……んっ……‥サスケ、‥…お前の体液が…‥ん、…ふ…‥」
もっと、と貪るように唇を重ね合わせるナルトと舌を絡め、深く深くとする口付けに熱帯びる感覚……
それは俺だけではなく
ナルトもだった。
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