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Reflex-2


目的の場所に到達する。

町を一望出来る寂れた見張り台。


コンクリートの床にはノートが何冊もバラバラと散らばっている。

一昨日
来た時はなかった物だ。


近寄り
腰を屈めて一冊のノートを手にし見ると表紙には『交換日記』と書かれていた。

この字は、
ナルトの…だ。



ナルトは此処に来ていたのかを考えるや否や俺はコンクリの床に腰を下ろして
数字順にノートを手にして字面を目で追っていた。


俺が返さず終いになっていたのと二人で生活した日々の交換日記は抜けてはいたが
それ以外は全て揃っていた。
一日足りとも欠かさずに……

俺と離れ、戦争に荷担し会えなかった時もナルトは毎日欠かさず
日記を書いていた事が解った。



大半は俺の事ばかりだったが、交えて
戦争の事や
兄さんの事、


最後に必ず『ごめん』との文字…


あいつが何を思い過ごしてきたかが詳細に書かれていた文章に心が痛くなった。



俺なら堪え切れん。




この戦争の発端にも
行く末にも……━━



x月x日



オレはどういう訳か
目が覚めると違う場所にいた。

冷たいベッドの上、
知らない景色
知らないオッさん達


『君は世界から…いや、地球に選ばれたのだよ。』

一人のオッサンが
意味わかんないコトを言い出した。


突然、頭が割れるように痛くなって
そんで何だか
英語での話声が聞こえてきた…

元から英語は苦手ってか、勉強はキライで…

でも内容が理解出来たのが不思議だった。


何かが発射し
何かが壊された。


オレはそれを咄嗟に口にしていた。


『宇宙開発施設が
一瞬にして真っ白んなっちまった…』



地球は長くは持たないだろう

と見做して何百年前かに開発した星があってソコへ移住を決め、計画を始めた途端、だった。


表面的には仲直りした大国と敵対する国々、
そう…
大国からは選ばれないだろう国の集まりが仕掛けた攻撃で
人類は行き場を失った。


冷静だった国の偉いさん達がコレを切っ掛けにキレた…


頼りにしていただけに怒りは相当だったけど
『地球滅亡』って情報を漏らさないため
宇宙開発所は研究中の事故のセイでってコトにした情報が流され
国連は会議を秘密で開いた。

結論は早かった。

『敵』として攻撃をした旧社会主義国を始めとする一連の国々への報復を計画。


そして、ある日
法皇に啓示がおりた。

『金色の髪、蒼穹の瞳をした少年が黄金の国に存在する。その者こそが地球の意志……。人類が造る最初で最後の…、最強なる我々の味方となるだろう…』


『領域を越えた
我々人類が散らかしたモノを片付けなければ……。』

『地球滅亡という恐怖から逸脱できるように…。』


『ツクバでの研究と開発が役に立つ』

『彼は平和の使徒。』
『最終兵器は最終的な人類の希望…──』


『跡形もなく、痛みもなく天に召されるように…』


言いワケみてーな原語の声が頭ン中でわんわん響く。




「有り得ない計画が実現したのは地球の意志で有り神や仏の意志だ。」


何だか益々意味がわかんないけど、
危険を察知した。


「遠隔ミサイルが発射された。到達まであと43分53秒…。ツクバってトコが……ヤバい。」

オレはワケわかんないコトを口にし
そして直ぐに安全とされる場所に移動させられた。

シェルターという地下深くの格納庫。


『戦争』という真実を隠す茶番劇が本格的に始まった。

オレは今日から命を殺す兵器になっちまった…。

サスケ、ごめんな。





×月○日

こんなのを神さんや仏さんが望むなんて思えねェ。


オレがもし神さんや仏さんなら、一人でも多くの人の命を救いたい。


でも……

もう、地球は
……ダメなんだ。


やっぱ苦しいんだろうな。
怖いだろーな。

地球がダメだって知ったらみんなオカシクなっちまうよな。


何もわかんねーマンマ痛みもなく『光』になった方がいいんかも…




そっとしといてあげれば、もっともっと生きられた青い星。

人間に傷つけられて
痛かっただろうに。


もう痛くないように
してやんねーとな。


でも
サスケだけは守りたい
サスケにはちゃんとフツーの生活を送ってもらいたい。


何も知らないマンマ…
ごめんな、お前をずっと騙すコトになっかも…

知られたくない。
サスケと一緒にいたい。


沢山の人を殺しておいてテメーのコトばっか考えるオレは最低で最悪だ。

『ごめん』じゃすまないけど…


ごめん。



ナルトの日記は
極秘とされた情報と経緯と懺悔と……


僅かな希望とが入り交じっていた。



俺はただ、夢中になって言葉に出来なかったナルトの文字を読んでいた。

薄くらい灯の下、
夜のとばりが降りている事にも気付けず
七冊のノートに書かれた小さな文字に夢中になっていた。


ナルトが直接
俺に話しかけてくれてる気がして……



俺にだけ
一人でずっと抱えてた真実を伝えてくれたのが何処か嬉しかったのと、わかってやれない辛さをやっと読取れて、やるせなくなったのとで…‥



みっとない雫が日記のページに落ちた。




次から次へ……――と。




















見張り台の平たい屋根上に座る影にも気づかずに……‥






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あきゅろす。
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