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love song-2



「おっはよー!!」


ナルトの元気な声に振り返る。

こんな朝を幾度迎えただろうか……


近寄る笑顔
伸ばされる手……



『強くなりてェ…』と『だってばよ』がこいつの口癖……


普段と変わらない日常の朝の風景。

下校はマチマチだったが、こうして一緒に登校を共にするのが当然となっていた。


そんなある日…――。

「あッ!……やべェ…」

「どーした?」


「うーんと……何か、オレ、ロックオンされちまったみたい…」

「……――俺にか?」

「ちッげーよ!!バーカ!、ホラ、オレ最終兵器だから狙われてんだ。そんでわかるんだって、そーいうの!!」

「…敵…なのか?」

「そー、北北西の方向十時の座標……あのカタチからして東側の国モンだな。」

「凄ェな…、そこまで分かるのかよ…」

「まァな、オレってば最強らしーし兵器として!なんて自慢してる時間ねぇ!!
サスケ、オレから離れろッ!じゃねーとお前まで巻き添えくっちまうからッ!!」

走りだすナルトを追いかけ手首を掴む。


「馬鹿か!言っただろお前を守るって…!」

「……でも……」


「でももクソもねんだよ。第一お前の遅い足じゃ逃げ切れねーだろ?」


「…う…………」


目に入った誰の物かは分からねー自転車の荷台にナルトを乗せ俺も跨ぎ乗る。

「……しっかり、捕まってろよ…」

「なるだけ住宅地から離れてくんねーか?
そしたらオレが何とかすっから。」


了承したとしゃかりきに漕ぐ。
言われた通りに住宅地や人通りから離れ
学校とは逆の方向へと……


塗装されてない元自衛隊の敷地内の林道にとナルトに誘導される。
「この辺りでいいか?」
チラリとナルトに振り返る。

「サスケお願い、ぜってーに、もう後見んなッ!真っ直ぐ前向いて自転車こげ!」


キュイィ‥…ンと鳴る独特の機械音。
背中に走る寒気に似た旋律………


「わかった、見ないから安心しろ……。」






「…う…っぐ…‥ごめん、…ごめ……、――…んああああーーッ!!!」


苦しそうに呻く声に謝罪を混ぜたのは消える命に向かってだろう…。

ぎゅっと俺の制服を握る手……


空に向かい放った轟音……
その音が爆音に代わると暗い林道の木陰からでも射し入った閃光に眼を眇めた。




「……終わった…‥、もう大丈夫…おつかれ。」


「マジで疲れたぜ…」


自転車を漕ぐ足を止める。
珍しく切れる吐息に自分でも必死だった事を知らされる。


「オレも疲れちまったってばよ…」

自転車の荷台から降りると青々と繁る雑草の上に寝転んだナルトの横に俺も腰を降ろす。


「……学校、さぼっちまおうか。」


「…ダメダメ!ちょっと休んだら一緒にいこーぜ、な?」


「…補給させてくれんなら、いいぜ。」

ナルトの細っこい手首を顔位置横で地に押さえつける。


「…な!!…、…何すんだよ…!」

「…恋人同士がする事、したい。」

「…え!、そ…そんな急に言われてもパンツフツーだし…」


「…俺も普通だぜ。」


「こ…心の準備体操とか、まだ……」


「準備体操なら二人ですりゃあいい……」

顔を落として
ナルトの顔に影を作り唇同士を触れさせ
深い口吻けにと誘う。

「…んっ!……んん…」

ナルトからも這わせる舌。唇を離して舌を擦るように舐め先の行方を知らせる口吻けを浴びせる……


「…ふ……ん…っっ……サス…‥――ッ」

甘く薫ずる吐息
濡れた唇……

「…可愛い、…ナルト…」

衝動を止められず
耳に首へと唇を押しつけ肌を吸う……

人の肌の香り……

ナルトの匂い……


「…ぁ…っ……ダメッ!!」


味覚は失せ
体温は無いがこういった感覚はまだあるらしい。
その事に酷く安心する…。


「…ダメッ!、監視されてっからッ恥ずかしい…!!」


「…誰にだよ?」

「自衛隊…のオッさん達……」


今もナルトがどこにいるか、頭に埋め込まれたチップの発信からGPSを巡りナルトが所在する場所などを把握していると口にする。

そして
何があったか情報を収集するためその埋め込まれたチップより全ての生活と記憶を読み取られてしまうらしい。


「サスケの事も調べたりされてたら、ごめんな…」



ちくしょう…
こいつのプライパシーやブライベートは一切無視かよ!



ナルトを勝手に改造し道具扱いする連中が気にいらねェと俺は酷く憤慨し見せつけるようにナルトに覆い被さった。


「そんなの俺は構やしねーよ…。」


「………サスケ…。」


「ナルトを抱きたい…今…此処でだ…」


再び唇を浚う。
呼吸を繋ぐのは俺の口内でのみと指示するかに隙間すら与えず
、離さずに…
荒々しくと……――


「…ふ……く、っ……んん‥」


背中に着くナルトの指々に力が篭ってゆく。唇を揺さぶり俺の唇に擦動る。

「…っは……サスケ……ッ、…っ…んん……」

俄か離した唇から酸素を取り入れ下から押し上げるように俺の開いた唇へと舌を伸ばして唇を添える

口腔の柔らかな肉を舌で撫ぜ、交えと互いに繰り返しては求め合う最中、制服の釦を一つ二つと外して行く。



「…ダ…メっ……やだ……」

甘掠れた吐息に俺の鼓動が高鳴る。


「…っ…ドキドキ…する……オレ…心臓動いてねーのに……なんで?」


気づいて‥たのか…?
…そりゃあ、そうだろうな……
てめーの身体だもんな……

俺はナルトの言葉を否定したく制服のシャツ上の左胸に片耳を押しつけた。強く、と……

「…聴こえんぜ。お前の鼓動……凄ェドキドキしてる…音……」


「嘘だぁ、…そんなワケねーよ…」


「お前には聴こえなくても俺には…聴こえる。」

「本当…に?…」


「ああ…、俺が嘘は下手なの知ってんだろ?」


「……う…ん。」


「お前はこうして自分じゃ確認出来ねーだろう?」

「……そりゃ…そんな風にはできっこねーけど‥」

「普段は凄ェ小さくてわかんねーだけなんじゃねーか?」



「そっか、…動いてたんだ、……オレの……よかった!安心した、サスケありがとっ!」


もっと聴いてくれと
言うように俺の頭を抱え包む。
その腕が僅かと震えていた。




嘘や思い込みじゃなく…――
俺には
俺だけには刻む小さな音が微かだが本当に聴こえたんだ……




胸上から顔をあげ
未だに不安を隠せないナルトに対して
大丈夫だと示したくナルトと口吻けを重ね連ねる。
そんな折、不意に腹に触れる猛り……


「…ん……っふ……」

水跳ねる互いの滑りを混ぜる口吻けで紅潮した頬…

俺を求める肢体
零れる吐息……
全てが愛おしく
ナルトが俺を感じてくれてるのが嬉しく…と
下肢へと片手を運び制服のズボン上からゆっくりとソレを撫であげた。


「…ぁっ……うう!!…やだ…触ン…な!」

汗ばみ赤味帯びる肌……体温も無い筈なのに、不思議だ。

俺の感触が静止した機能を復活させたかな錯覚さえ引き起こす……

誇張しているナルトが魅惑的で愛らしい。


「…ナルト…勃ってるぜ…」


「………う……っ…や…」


盛り上がった主張を手平に包み更にと撫でつつナルトの首筋に紅い花を刻む。


「…ぁあっ…つ…熱いよぅ……サス…ーーッ」


捩る身体、蕩けるような吐息を弾ませる唇
浮き立つ胸。


釦を外したシャツ間をはだけさせ胸肌を外気へ曝す……



「ダメッ!……見んなァあアアアーー!!」


瞬間に上がる声。俺
から手を離して手甲で瞼を隠し胸肌よりも見られたくないものを隠し………




「…お…願い……見ない……で…」


甘い声の波紋は
哀しみ色へと息衝いた……。



ナルトの胸の狭間に
刻まれた十時に似た深い傷………




「オレさ……成長してんだ……。兵器として……、強くなるたんびに傷が元に戻んなくて……痕ついちまって消えなくて………――」


「……………――。」



「オレさ、いつか人間のカタチさえしていらんなくなんじゃねーかって……思うんだ。
サスケはいやだろ?
こんな…の……」



「…綺麗だよ……ナルト……」




傷上に口吻けを注ぐ
傷ついたナルトを癒したい一心で……
何度も何度も……――



「…サスケ…!……ごめんな……、こんなんでも…恋して…大好きで……ごめん…――。」



ナルトの身体を
心を
酷く傷つけた輩が許せねェ。

腹が立って煮え繰りかえって仕方ねェ。


「…俺だってな。…気付いてんだ……」



「……え…?…」



ナルトを抱き起こして背中を地から離しその場にと座り、強くキツく……ナルトを抱き締める。
肌を見せない様…
俺にと括りつける……


木葉の隙間から覗く
金属の機体の反射と
プロペラの音響く空が余計に神経を逆撫でる……。

「‥俺は生涯許しはしない…――」

「…………??…」


「…ナルトは、こいつはアンタらの道具でも国の兵器でもねェんだ…」

「……サスケ……」



「居るんだろ?
……こそこそ…隠れてやがるみてーだが……」


腰横にある小石へと片手を落とし握り
人の気配のする樹幹へと投げ付ける。


それでも姿を表さない、俺にとっての敵となる輩に苛立ち、ナルトを両腕で抱き締め直す。


「アンタらの好き勝手にはさせない…。こいつは、人間なんだ!!」



「さっきから発信してたんだけど…………
ポケベル…切ってたの?」


「……カカシさん、ごめんなさい。
…オレ……――」


漸く現れた銀髪の背の高い男は背広を着ていて偉そうな勲章を襟に飾りたてていた。


俺との隙間を作り
身を整えるナルトに危機を感じて行くなと言わん許りに腕をきつく巻き付けた。


「…ナルトは、こいつは俺が守る!。テメーらには渡さねェ‥!」


「…サスケ、…ありがと。こんなオレを…そこまで思ってくれて…ホントありがとな………。でも…オレが行かなきゃ…たくさんの人が死んじゃうから…――、ごめん。」



「……――ナルト……」


腕から離れるナルト。

立ち上がりカカシと呼んだ奴へと出向き、俺へと一度振り向き告げた……――


「サスケが、大好きだってばよ!」


その言葉を刻む唇は酷く儚げで哀しく………また優しくと
碧色を澄んだ水滴で薄く帯びさせ………
それでいて相反した何もかもを払拭させるかの笑みを翳していて………俺の言葉を失わせた。




背中を向ける頃には凜とした声色を空気に爆ぜ、あんな奴に敬礼する始末……



そして舞い降りた際に樹々を薙ぎ倒したヘリの中へとナルトは消えて行った……。



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