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Reflex 1


ナルト



いや、九尾を自衛隊に渡してから数週間……


日々を過ごす内に
この戦争が過去に起きた様々な抗争の中でもっとも深刻かつ過酷であるものなのだと実感する。



この町を頼りにやってきた連中は
まだ学校があり授業があることに驚き、限りはあるが被爆されて居ない土地に、敵の空襲が一度足りともない事に奇跡に近いとして
有り難がっていた。



しかし
度々起こってはいた自然の脅威にはどうしようもないと知らされる。




今までに起きた以上にデカい、立って居られない程の地震によって……






構築や立地が良かった為か幸い俺の家は打撃的な被害はなかった。




だが
多くの人々や建物に被害が出、病院は収拾つかず、物質や薬すら足らず、死者や負傷者もかなり……



サクラもその一人だった…。





あの日
俺はサクラの親友である、いのに呼ばれいのの尋常でない様子からサクラの家に直ぐさま向かった。そして病院から簡単な手当てを受けただけで返されてしまったと言うサクラを見舞い
あいつの切実さを知った。



「…サスケ君も…大変なのに、……突然…ごめ…ん…な‥さい。」

自室のベッドで仰向けに寝たままのサクラは顔の半分が包帯で隠されていた。
そうした姿から軽症としての簡単な処置と自宅療養ではなく、『手を尽くせない』とした世情が垣間見えた。



「本当はこんな姿をサスケ君だけには見られたくなかったんだけど……、私もう『女の子のからだ』じゃないし…──、それに……、でも、後悔だけはしたくなくて。」

たどたどしく、そう言った後、体を起こすのに手伝って欲しいと言われ俺は体勢を屈めサクラに腕を伸ばし髪下へ腕を回して肩をゆっくりと支え抱いた。その時、傾き寄り掛かった唇が耳元に向けられ届いたサクラの小さな声……


「好き…、サスケ君がナルトよりも…、……ずっと…ずっと…前から‥好きだった…」


未来を予測出来した告白に嘘はない。

「………サクラ‥、俺は……」

正直なサクラの思に…嘘をつける訳がなく…―――


「わかってる!言わないで、お願い…!
……わかってる…から……、もう少し…このままでいて。」

流れる涙に混じる香りと容態からも読み取れるサクラの行く末。特別な感情はないが望まれるが侭の姿勢を保ち、動く事を辞めない唇が発する弱々しい音を聞取っていた。


「………──。」


「ねぇ!…ナルトじゃなく私がだったら?、ナルトに言わせないで私が…だったら?」


「……悪いが先も後もない。俺は…」


「私、ずっと我慢してた、ナルトがサスケ君の事で悩んでた時も『がんばって』って励ましてた。」


「………――。」


「本当は……何であんな奴にって思ってたのに。いつも笑ってるナルトが悲しい顔するのが嫌で……、居なくなって良かったって思ったりもしたのに、……でも心配で…ナルトが…」


「……‥」


「ナルトは友達として好きだったけど、サスケ君の恋人としてのナルトは大嫌いだった…。」


素直に自分の気持ちを吐くサクラに何も言えず、身も解くどころか血の滲む布に覆われた小さな身体を黙って支え抱いていた。

崩れないように…



「私、嘘ついてたの、ずっと。
やっと…嘘つかなくて済んだ。……だけど…………」


「……サクラ…」


「だから…今からでも……ほんの少しの時間だけ…………
少しで‥いいの、……私を……━━、ねぇ、いいでしょ!」


「……あまり喋るな、…傷に響く。」


「………ごめんなさい、サスケ君がこうして私を抱いてくれてるだけで本当に満足で嬉しくて、……………なのに………──、ごめんね…、もういいわ。…ありがとう。」

肩先に乗ったサクラの力ない腕が落ちる前に俺は嘘をついた。
「…少し、だけだぞ。」

緩めた腕の距離を浮かしてサクラの『親愛』とする場所に唇を軽く添えた。

せめてもの餞に……


「……サスケ、…くん‥」

「……安心したかよ?」

頬を包んだ親指を伸ばして、こめかみへと伝うサクラの涙を拭う。拭っても次々と伝う涙を…‥



「…あり…が‥…!!?…」

「…!?…」

口を押さえ俺を突き放して咳をしだしたサクラの指間から涙よりも遥かに上回る紅い液体が流れ落ちた。

「………ご……め‥、……ぉ…母‥さ‥…呼ん…‥で…」


やや傾斜した家の階下に居る家族へと急ぐ。
そして予断を許さない事態を把握し
サクラの家の玄関を出た。すると直ぐさま家族の泣き声が外にまで響き渡った……





一人の級友を失った、あの地震の被災者の数も、震度すら知る事はなく時間が経ち、日が過ぎ…―――。





唯一であっただろう学校も現在は全て休校し、家を失った人達や他の場所から訪れた輩の住家となっている。


金や便利さに執着していた生活は、もうない。



俺の出来る事。


瓦礫を片付け
水を運び
土地を耕し……




共存を余儀無くとされた環境は、他人との接触を特別に必要としてなかったからか決して得意な物じゃないが、誰かの、己の役に立っている気がした。

何故か小さくても
この町を守っている…。との錯覚さえも沸いたのが不思議に思える。


そんな毎日が続いて行く……















ナルトはサクラが亡くなった事を知ってるのだろうか…?



サクラの事を覚えているのだろうか…?


この町の状況を把握しているのだろうか…?


回復はしたのか…?



この空を飛んで
まだこの町を
この国を
世界を…


守っているのか?


それとも単に最終兵器としての役割だと
何もかも記憶を閉ざして戦っているのか……




俺の事を少しでも、
まだ覚えているのか…?






いつものように
旧自衛隊が保有していた土地を渉り
見張らし台へと歩いて行く間、


足を止め

戦闘機すら見えない
夕焼けに代わりゆく
空を見上げながら


ナルトに問い掛けるように心の中で
呟いていた…。




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あきゅろす。
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