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Destiny-6

「今日も遅くまでご苦労だったね。」

「……アンタもな。」


「これ、持って来な。皆よりも長く働いてくれてる礼だ。」


「缶ジュースか…。甘い物は生憎苦手だが…ナルトへのいい土産になる。悪いが遠慮なく貰っとくぜ…。」

「大したモンじゃなくてすまないね…」


綱手から貰ったオレンジのジュース缶を空となった弁当箱を収めた袋に入れ、漁港からの帰り道を歩いていると
以外な人物に出くわし足止める。


「…アンタは……――」


「今晩は…。」



……こいつは確かナルトの上官である…カカシ。



「ナルトを連れ戻しに来たのか?」


「…違うよ。」


「なら何故、こんな所をうろついてる…?」

背広の内ポケットに手を忍ばせたカカシは束ねた銀色のシートを取り出し、俺にと手渡した。


「…これは……──」


「限界が来る前にナルトに渡しといてくれると助かるだけど。
……これでお終い、だと添えてね。」



「…ああ、…分かった。」


渡されたカプセルシートの束をジーンズの後ポケットに収める。

落とさないようにキチンと……


「……ナルトを宜しく頼む。」


俺に頭を下げるカカシは初めて会った時とは違い、何故か人間臭かった。



言葉を交わしたのは
それだけで
…淋しそうにも思える眼差しに背を向け
帰路を進んだ。




ナルトはそろそろ手伝いを終える頃だろうか?


そんな考えが過ぎると足先はラーメンへと向かっていた。


小さな灯が燈る町の繁華街を通り、角にあるラーメン屋を目の当たりにすると暖簾を下げるナルトの姿が映った。


「あっ!サスケ!!」

暖簾を片手にブンブンと手を振り俺に笑顔を振り撒く…


「今日は随分と早い店終いなんだな?」

「何だか知んねーけど、すげー大繁盛で、もう材料なくてさ。」

「…そうか、ご苦労だったな。」

「サスケこそ、朝早くから夜までお疲れ様。」

ナルトの笑顔に労われ俺も自然と顔が綻ぶ。

「そーだ、せっかくだから一緒に帰ろーぜ!
悪りィけど中入ってちょっと待っててくんねーか?」
「…ああ。」


空いた戸間の下を潜ろうとした矢先、暖簾を閉まったら今日はもう帰っていいと伝える声が聞こえ、軒下で少しの間だけ直ぐに片付けると告げたナルトを待つ事にする。



疎らと道行く輩に
挨拶をされ、軽くだが会釈をしたりと……



この一週間で
すっかり、この町に馴染んで居るらしきと認識する。


「お待たせェー!!」

俺の片腕に力強くと巻き付く両手。

「へへッ!サスケにすっげー逢いたかったから、こーして一緒に家に帰んの、めちゃくちゃ嬉しいってばよ!」

「…俺も嬉しいよ。ただ通り過がりとするだけだったが、こうしてお前と……なんてな。」

「…えッへへ!」


はにかみ笑うナルトが愛しい。

いつまでも、ずっと手を繋いで歩いて行きたい。




「仲良しさんだねェ。」

「こんばんはァ〜」


「噂のサスケ君をオバチャン初めて見たわ。…いやァ〜、本当いい男だねェ。ああアタシが後二十年くらい若かったら…」

二人で道を歩いたとならば尚更……声を掛けられたりで照れる‥。

「ダメッ!!サスケは誰にもやんないかんな!」

冗談を交えつつ俺に胸を押しつけるようにして更にと腕を巻き付けた。俺とは違い、ナルトは人懐こいからか、こういった順応は早く。恥ずかしいとは思わないみたいだ。


「はいはい、ごちそーさま。気をつけて帰るんだよ」

「うん、ありがと!お休みィ〜」

「はいよ、お休みなさい。」


本当にすっかり馴染んでる…。



やっと二人きりになり道を歩いているとナルトが、いきなり立ち止まった。


「あ!あんなトコに煙突発見!もしかしたらしたら銭湯かも!」


指差すと方向を幾分と変え俺を引っ張って行った。


四隅を曲がった数十メートル先で目にした暖簾。


「何で気ィつかなかったんだろ…」


「…温泉、あったんだな。」


「サスケ、オレが奢るから入ってこーぜ!」
「石鹸やタオルはどうすんだよ?」

「それも奢っからッ!」


グイグイと強く引く腕に根負けし
中へと入り番台に金を渡して二枚のタオルと石鹸やら洗髪用具を一組み受け取り、脱衣篭に衣服をパッパッと脱ぎ捨てたナルトの後に続こうと上着を脱ぎ………
ジーンズのポケットに入れておいた薬のシートをナルトの服に何の気無しに交え、腰にタオルを巻いて浴室の戸を開けた。


「サスケェエエー!!
温泉、貸し切りだぜッ」

広い浴槽に頭まで恐らく浸かっただろう。
水濡れ、寝た金糸に笑顔を纏い大きく横振る片腕……


「お前、ちゃん湯を浴びてから入ったか?」

「あッ!?いけね!
今やるってば!!」


「もう遅ェよ…バカ。」

俺が湯を浴び
浴槽に片足をつける頃には、バシャバシャとバタ足を繰り出す音が響いていた。

「ガキか、お前…」

「うっせー!、いーじゃん、誰もいねーし。
こーんなチャンス、滅多にねーんだからよ。」

「だからと言って、お前な‥」

「ちぇッ、ジジ臭ェヤツ‥…――」

「何だと…」

湯を手掬いナルトの顔面に思い切り掛ける。
「うおッ!!、…サスケ、てんめェー!よくも…やりやがったなッ!?」

バシャッバシャと掛け合う湯渋く音が一面に響き渡る。


浴槽を上がると
供に背中を流し合い
髪を洗い合い……

俺達は
互いに素肌を初めて晒した羞じらいよりも
性的に意識するよりも
幼い子供のように戯れ合う事の楽しさに耽っていた。




「ゆっくり浸かって疲れを癒せ」と浴槽から立ち上がったナルトの背が湯煙に消えるのを黙認する。





俺が服を手にする頃合には既にナルトの姿はなかった。


空となった脱衣篭、
薬を受け取った事に安堵を招く。





着替え終えて靴を履けば、湯気立つ後姿を発見する。


「気持ちよかったな!」

「…ああ。今度は俺が奢ってやっからまた行こうぜ。」

「おう!」


綱手にもらったジュースがある事を思い出し、手に持つ包袋から其れを取り出しナルトへと渡した。

「冷えてはないが、喉乾いただろ。今日の土産だ、飲め。」


「サスケ意外と気ィきくじゃんか、サンキュー!」

プルトップを空け歩きながらオレンジジュースをゴクゴクと喉を鳴らし流し行くナルトの横顔を眺め細まる双眼。


「ぷはァ〜‥、うんめー!!。 100%だからさ、あんま甘かねーと思うからサスケも飲めよ。」

「……少しだけな。」


「半分!半分飲め!うめーからっ」


ナルトに促され
残りの半分を飲み干す途中……


「…薬、……ありがとな。」


小さな声が
澄んだ星空の下に微かと響いた…。














家に辿り着くと
寝巻に着替えず、
石鹸の香が漂った柔白い肌をシーツの上で晒し、蒼月浴びる金糸を疎らに光らせるナルトを腕内に収め……


同じく生まれ出でた姿で体温を分け合い
同じ香がする肌を重ね、深く浅くと舌を絡め唾液を啜る口付けを何度となく交わし…――

同性を示す
屹立した熱を逃がす術を知らずと
唯、それを密着させたまま眠りに就いた。


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あきゅろす。
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