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Destiny-5[sideナルト]

サスケと故郷の町を出てから一週間が過ぎた。

二人して慣れなかった仕事もやっと何とか慣れて来た感じ。
オレも丼やコップを随分と割んなくなった。


毎日サスケと一緒の布団で眠り、朝早いサスケにお弁当を持たせて、昼前にはラーメン屋へ。
二人して一日あった休みの日には
朝から晩まで
抱き合ってゴロゴロしてた。
いっぱいチューしてぎゅっとして。
ちょっとエッチなコトはしたけど、それ以上はしてない。
チューばっかしてた。
知らないコトすんの、怖くてさ。

でも、いつかは……
何て風に思ってたり。
そんなオレって
何か変態クセーかも。

まァ、休みの日のコトはこんぐれェにして…
そうそう、
ラーメン屋のオッチャンが言うにはオレがココを手伝うようになってから客足が増えたんだと。

きっと、この髪色や瞳の色が珍しいんだろーな。

オバチャン達によく髪触られっし
「異人さんかい?」って訊かれるしな。


本当の父ちゃんと母ちゃんのコトはよく知らない。写真で見たコトあっけど父ちゃんとオレは同じ髪と瞳の色をしてた。

オレを引き取ってくれた育ててくれたオバチャンもオジチャン…いや、父ちゃんと母ちゃんも何も教えちゃくんねーから、それしか知らない。

だから
笑って誤魔化してんだ、「英語しゃべれねーけどな!」って。


今日もサスケ、疲れて帰ってくんだろな。

夕飯は出っから夜食程度なモンを、テーブルに置いとく。

オレはあんま腹減んねーからサスケの分だけ。


薬…
もうないから明日からは飯食わなくても大丈夫そうだな。


………もう少ししたら、終わる。


だから、ジエータイを辞めてサスケと居たくてあの町をでた。


本当は肌身離れずサスケと一緒にいたい。

でも、そんなコトは言えない。



みんながしてるようなフツーの生活をしたいから。



〇月〇日 ナルト



お昼の忙しい時間を終えて一回、家に帰って家事をすませ、日記を書き終えてノートを閉じる。サスケと付き合い交換日記をしようって言った日から毎日のように書き綴ってたから、いつの間にか5冊目になっていた。
サスケには見つかんないようにリュックん中に閉まってから時計を確認。
そんで
またラーメン屋へ行く。




そろそろ任務を終えた漁師のオッチャン達や色んな人達が夕飯を食いに来る時分になった。

これからが忙しくなる時間だ。


店内が賑わい始める。
戸を開け閉めする音が続く。



「いらっしゃ──…ッ!!?…」



カカシ…さん。


なんで?
なんで…こんな僻地まで来たんだよ。
せっかく平穏に幸せに暮らしてるっつーのに……


今は仕事中だから
プライベートなコトは言えない。

みんなに振りまくみてーにニコニコしねーと。

氷水の入ったコップをカカシさんが座った卓に置く。
静かにトンと。


「何にすっか決まったか?」『何シニ来タ…?殺サレタイノカ?』

「…!!?」


驚いた顔で笑顔を作るオレの顔を見る。二重に響く音声にビックリして。

「おすすめは味噌チャーシューラーメンだってばよ!」『クク……安心シロ‥信号周波数ヲ、アンタニダケ合ワセテ喋ッテル…。一方的ナ副音声ヲあんたダケに楽シンデ貰う為ニな‥』

「…それをお願いするよ。」

直ぐに顔つきを戻して沈着冷静なフリをする…ーー、なんて流石は国のお偉いさんの一人、ってなトコか。
オレも見習って普段と変わらねー感じで働くとすっか!
副音声はこのまんま、招かざる客にお届けしていつものように…

「オッチャーン!!味噌チャーシュー一丁!」『ハッキリ言ッテサ、もうドーデモ良イんだ。散々アンタ達ニ尽クシテ殺シテ来タダロ?』


「あいよ、ナルちゃんカレーできたよ〜」

「はいはい、ただいまカレー大好き高橋さんへオッチャン特製インスタントカレーをお届けしますってばよ!」『もう好キデモねーコト強要サレタカねーンダ。』

「オーイ、俺のラーメンまだァ?」

「今さ、オッチャンが愛を込めた三分間を麺に注いでっから水いっぱい飲んで待っててな!」『あんたモ解ってルと思ウケドサ、無駄な争イダッテコト‥』


「ナルちゃんの愛は注いでくれないの?」

「オレの愛はサスケだけで精一杯だから!」『ヤレルだけヤッタ。現在ハ無駄ナ破壊ヤ殺シ合イヲスルよか好キな奴ト一緒ニ居タイ‥』

「今日さぁ、父ちゃん迎えに行った時見掛けたけどサスケくんって本当に綺麗な子だよねえ。」

「へへッ、サスケは心もキレーなんだぜ」『好キナ奴ヲ大切ニ想イ愛スル気持ちヲ捨テ、国ノ為あんた等ノ為ノ兵器ニナル事シカ俺ニハ赦サレねーっつーンナラ‥…』

「ラーメンあがったよ〜」

「はいはい!お待たせェ」『俺ハ‥……』


「次、味噌チャーシューできたぞ〜。」

店のオッチャンとお客さんの間を行ったり来たりと忙しく動き回るオレをチラリと見る視線や、そのお堅い感じのスーツ姿が、暖かで活気ある雰囲気にゃ全然似合っちゃねっつーの。まあ、いいや。お前も客だかんな…。
そう思いながら湯気立つラーメンの器をトンと置く。皆に持て成すのと変わりない笑顔で。

「はい、銀髪の兄ちゃん、お待たせェ〜!」『今直グニデモ…ナルトノ殻ヲ破ッテ、九尾トナリ……アノ国迄翔ンデ…──其ノ全てヲぶっ壊してヤル‥』

「…!!?…」

「さあさあ、初めましてのお客さん!よーく味わって食うんだぞ!?」『……ソレガ嫌ダッタラ、喰ッてサッサト失せロ……』


フ…ってな風にサスケチックを目指して笑うと背後でガラッ‥と戸が開く音が響いた。

「あ…満席だ。」

「わりィ。すぐ席空くから、もうちっと待ってな」『インスタントだけど美味ェダロ?』

「ごちそー様。ナル君、おあいそお願い。」

「毎度〜、いつもありがと。また明日も来てな!待ってるぜ。」『半分は喰ッタか‥…』

気ィきかせて出てった常連さんの会計を済ませ、空の器片手にテーブルを拭き、今きたばっかの常連さんを招き入れる。ニコニコ笑ったまんま。

「はーい、ねーちゃんお待たせェ!この銀髪の兄ちゃんと相席になっけどいいよな?、…で、今日は何食ってくれんだ?」『ソレダケ喰エバ十分かもな…』

「すみません、隣いいですか?」

「直ぐに食べ終わりますから、どーぞ。」

「へェ〜‥お隣りで並ぶお二人さん、何だかお似合いじゃんか!これで恋の花が咲いたりなんかしちゃったら、オレってばキューピットだよな!」『……どうやら…ヘンナ味ハシナカッタみてーダナ…?』


「はは…」


「兄ちゃん照れんなよ!」『……アレ…入れといたカラ‥‥』

「…――!!?…、まさか……」

「ん?どした?恥ずかくなっちまったんか?」『クク…ッ、流石ニ察しイイ。アンタ等ガ俺ノナカニ散々仕込ンダアレヲ勘繰ルナンテ…な』


ガッシャーン!!
カカシの野郎がスープを啜る丼を手から落としちまったのはきっと“アレ”の意味がわかったからだろう。

「きゃっ!!?」

「…すみません。汚れませんでしたか?」

「あ、…はい、大丈夫です。」


「ごめん、ごめん。ちーっと、からかい過ぎちまったかも。
はい、オシボリ。
後はオレが片つけっからゴメンな。」『………へー‥あんたモ死ニタカねーンだな?』


「…ご馳走様。…いくら?」

「あ!からかっちまった詫びにオレが奢ってやっからお代はいいってばよ。」『…ビビったか?……嘘ダヨ。』

「………いや、釣りは要らないよ。」


「いいって。その代わり……」『……マタ、俺ヲ干渉シニ来やがったら……今度はスルぜ。』


「また来てな!」『…死ニタクナカッタら……もう二度ト来るンじゃねーぞ‥‥』



「ありがとう御座いましたってばよ!」『……解ッタら俺ヲこんな風にシヤガッタ国の馬鹿共ニ最終兵器ハあの国ニヤラレマシタとでも伝エトケ……。連中ハ未だニあの国ノ言いなりだかんな。何モ調べヤしないサ……。じゃあ‥達者でな……』







カカシさんの背中に手を振り、周波を切断した。


「オッチャン、悪りィ。もう我慢できねー!!。ちょっと…小便ターイム!」


トイレの便座に座り悪態を思い返して
人間である感情をむき出した…。


「……ごめん…なさい。……もう……少しだけ……、ワガママ許してな。」






最後の薬はもうない。


オレは
あと何日持つんだろう……。





サスケ…





……サスケ……







今すぐ、



お前に逢いたい……。


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