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それは突然訪れた


オレ、うずまきナルト13歳!
父ちゃんと母ちゃんと木の葉丸って言うまだ3歳の弟がオレの家族。
父ちゃんの仕事が順調で都心近くの広いマンションに引っ越して来て1ヶ月が過ぎようとしていた、そんなある日……

「ナルト、悪いけどお使い頼んでいいかしら?」
「おう!」
「牛乳とカクテルサラダの材料をお願いするわ。そうね‥オレンジとアボカドとエビにトマト、パプリカにクレソンを…」
「うげ…オレンジとエビしか食えねーってば‥」
「食べやすいように作ってあげるから、ちゃんと買ってくるのよ?」
「駄賃にお菓子買っていいか!」
「仕方ない子ね。いいわよ、じゃあお願い。」
「へへッ!ラッキー」

母ちゃんにお使いを頼まれて玄関を出ると、向かいになってる表札のない扉が目に入る。
誰が住んでるのかもわかんねー‥なんてのは大都会の東京じゃあよくあるコトだったから気にしちゃいない。

この街は、オシャレな大使館が沢山あって東京を主張する高い鉄塔があって、それ飾るよーな公園があって……
ちょっと奥に行くと、昔ながらの商店街があったりもする。
オレはどっちかってーと何だか横文字が並ぶ商品ばっかなスーパーよか、婆ちゃんが焼くたい焼きの香りがする商店街のが好きだったりする。

でも、母ちゃんから頼まれたモンはオシャレなスーパーのが揃うから仕方なく今日はそっちへと足をのばす事にした。

「えっと…」

店に入って、母ちゃんから渡されたメモを片手にうろつく。
北海道産の濃い味の牛乳にオレンジ、パプリカ‥アボカド…クレソン、エビって順に買い物カゴを埋め、最後に駄賃に欲しがった横文字のチョコレートをカゴん中へポイッと。
このチョコは弟の木の葉丸が大好きなチョコ。
アイツの喜ぶ顔を目に浮かべながらレジへ。
外国語で「ありがとう御座いました」ってレジのねーちゃんが言ったのは、きっと一般的な日本人とは違う、この髪と目の色のセイ。モロこの国の子供ってな弟とは、まるっきり違う容姿なんは、父ちゃんに似たからだ。

紙袋を両手で抱えスーパーから出ると、もう街並みは夕方の色に染まってて、明るくとりどりな灯が点き始まっていた。

この街中はオレと同じ髪の色や目の色をした人が結構いる。
父ちゃん似の髪や目の色のセイか、前のトコでは何だか目立ったけど…ここならそーいった点、目立なくていいやって、新しい学校でも何だか友達もすぐ出来て気に入ってる。
先生も父ちゃんのファンだとチヤホヤしてくれる。
でも、一人だけオレを無視るよーにフンってしてるヤツがいる。

数学の先生…

顔がよくてクールだからか女の子には人気あっけど、オレは何だか気に食わない。

スカしてスマして
気取ってんのか
誰ともあんま喋んねーみてーな、あの教師。

顔を思い出しただけでムカつく!

そんな事を考えながら人混みを掻き分け、ようやっと郊外の高くて綺麗なマンションが並ぶ一角に辿り着いた。

こんないいトコに住めんのは全部、父ちゃんのオカゲ。

父ちゃんは小説家で最近イケメン作家だとかって、すンげー売れちまって億ションまで買えるくれー有名になっちまって、そんで、こーんな夢みてーな暮らしが出来た。

ホント今までのフツー以下の生活とは一転して考えらんねーくらい贅沢で……

でも、別にいい服とかいい生活を望んじゃいない。
父ちゃんは、売れてから忙しんか笑顔が消えて、イライラしてるコトが多い。
何だか見栄とかも張っちゃって高いブランドの服や宝石を身につけ、マスコミの目から家族を遠ざけさせなきゃ…ってな風な理由をつけてホテルに泊まりっきりで仕事したり、外で飯を食うようになったり、あんま母ちゃんの料理を食わなくなっちまった。

当然、オレや弟ともキャッチボールとか格闘技ごっことかしてくれなくなっちまった。
生活は変わっても、前と変わんない笑顔を絶やさない母ちゃんや弟……

オレは父ちゃんがいつの間にかキライになっていた。

でも、今日は一日中、父ちゃんが家に居て、「ごめんね、少し眠らせてくれるかい?。起きたら君の手料理を楽しみにしてるよ…」って、忙しくて疲れて痩せちまった笑顔で母ちゃんにそう言ってたのが嬉しかった。

オレと弟にも「久し振りにみんなでお母さんのご飯を食べよう。ナルト、その時に学校の話をしてくれる?」なんて言ってくれたのも嬉しくて。今日だけアボカドやパプリカを食べてみてもいいような気分になってるとか!

こんな風に家族が揃う食卓は久しぶりで楽しみでと浮き足立って警備システムの高い分譲マンションのカードキーを通してエントランスを開け、警備のオッチャンにも敬礼をビジッと決め。それからエレベーターに乗り七階で降りて、オートロックな玄関の扉にもカードをすらして靴はいたマンマで家に上がる。
廊下を歩き台所へ行くと信じらんねー光景が目の前に広がる。

「!?」

息をしてない母ちゃんが頭から血ィいっぱい流して倒れてる。
オレは悲しいのと、怖いのを通り越して立ちすくんでいた。

予想もしてなかった突然の出来事を把握できず、悲しいよりもショックで声も出ず……

だけど、せめて目だけは閉ざしてやんなきゃって身を屈め、母ちゃんの赤色の髪を撫で、瞳を手のひらで閉ざしてやった。
「母ちゃん……なんで?」

セキリュティの高い密室状態の家で起きた殺人が理不尽だ。
まさかとは思ったけど、もしかしたら犯人は父ちゃんかもって、そう思っちまって、そしたら泣くより先に父ちゃんの部屋へ走ってた。

開いたマンマの扉……
明らかにオカシイ!
まさか、まさか!

「…うッ!!?…」

父ちゃんは母ちゃんより血だらけで、アッチコッチ撃たれてて、部屋が荒らされてて……

そんでわかった。

父ちゃんも母ちゃんも、誰かに殺されたんだって。

なんで、こんなにセキュリティーの高いマンションでとか、そんな防犯システムがどうたらだとか、そんなコトよか、悪い予感が走った。


その途端、銃声がいくつも響いた。
弟の木の葉丸まで……と直感し、悲しむ間もなく今度はオレだと実感する。

「まだガキが一人居たハズ…ーー」
「良く探せ。容赦無く皆殺しにしねーと足がついちまう。」

長い金髪の男はオレを探して殺そうと銃に弾を込める。
もう一人の赤髪の男は家族の写真を眺めオレのツラを確認してるみてーだった。

チラッと見た顔…
。一生忘れるモンか!

オレは生き残ってぜってーお前らを殺してやる!
息を潜め涙を飲んで、復讐を誓った。
静かに音を立てないようにして台所に置いて来た紙袋を再び抱えオレの部屋の鍵を解くのに夢中なアイツらの背中を後目にそーっと玄関を開き閉じる。そしてオレは見たコトもない向かいさんのインターホンを鳴らしてた。

「お願いします!開けて下さい。」

反応のない扉。
早く!と焦る。
オレが殺されちまったら、復讐すら出来ねー…

「…お願い………開けて…‥」

ぼろぼろ流れる涙…
モニターに映ったのはきっとフツーじゃねーオレの泣き顔…

インターホンの向こう側の声は何も聞こえなかったけど、ガチャンと扉の鍵が開けられた音がした。

その時オレの家の扉が開く。
オレは涙を止め笑顔をつくり、大きな声で、「ただいまァー」って、ココの家の子のフリをして玄関を潜った。


こうしてオレは、オレんちとは全然、無関係なフリをしてヤツらの目を誤魔化し、何とか生き残るコトが出来た。





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