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song-2


‥…休日。



俺はシカマルとキバに誘われ、この町から約1時間程かかる繁華街へと出掛けた。



用途は買い物。
別段、欲しい物は無いが、最近付き合いがますます悪くなったと、どやされ仕方無く……。



良く晴れた日曜日…
高い建物が並び沢山の人々が行き交い騒がしい。


昼下がりのアスファルトを見やり気怠げに歩いていた、その時…――


「何だか飛行機がいっぱい飛んでるけど……あれ自衛隊…だよな?」


キバの声に促されて空を見上げる。


「外国の戦闘機がこんなに領空を侵すなんてありえねェ。何かの撮影とか……」
シカマルが怪訝な口調を洩らした瞬間
自衛隊機が一機二機と撃墜された。


「撃ってきやがった…」
空に向けた双眸に映ったビジョンから容易く脳裏に[戦争]の文字が浮ぶ…


敵対国と見做すに相応しい戦闘機から次々とミサイルが発射された。


「…まさか、おい!嘘だろ?撮影かなんかだろ?…何で、今さら戦争なんだよォ!」

狼狽えるキバ

周りの連中も騒がしく……

何故か
俺とシカマルは冷静だった。




「…何だ、あのちっこい自衛隊機‥スゲーすばしっこい。」


シカマルが発見した戦闘機にしては目立つ朱色の機体。
自在に動く流形が次々と敵機を撃墜して行く。


「スゲー‥ガンバレ!ちっこいの!!」


パニックていたキバも息を飲み
朱色の機体を目で追って応援していた。


落下する航空機
破壊されて行く街並み。


何故だろうか俺達が居る街の中心だけは避けるように、あたかも軌道を計算したかに思える攻撃をする朱色の自衛隊機……


俺もその鮮やかさに
目を奪われ……心の中で声援を送っていた。




そんな時だった。



最後の敵機を撃墜した間際に朱色が撃たれた。


「ああーー!!ちっこいのがぁあッ!!」


「それより、あの朱いヤツに撃ち落とされた敵機がコッチの方に墜ちてくんぞ!
おい!キバやべー逃げろッ!!」



走りだすシカマルとキバとは違う方向に走りだした。


「サスケ、 どこ行くんだ?あぶねーって!」


シカマルの声を無視して、航路を保ちながら墜ちて行く朱色の戦闘機の行方を追っていた。


何だか勝手に
思考のままに
足が動く


何とも言えない焦臭を鼻孔に、血腥い光景を両眼に流して
一心にして闇雲に
瓦礫と化した街中を
走ってた。




「うわっ!」



誰かが俺にぶつかり転んだ。


「…悪い、大丈夫か?」



金色の髪
青い瞳……こいつは、もしかしたら……



「…サ…スケ。何でサスケが此処に?」



「……アンタこそ、何故だ……」


「だってオイラこの街の近くに住んでっから。それよりお前のセイで怪我したぞ!責任取れよ…うん。」


膝から出血していたが尻餅を着いた具合からして、俺との接触で……何て有り得ねェ。

だが
うだうだと、こいつに構ってる暇はない。

あの墜落しただろう戦闘機が気になる……


「すまないが、先を急いでるんでな。これで勘弁しろ…」


ハンカチで怪我した部位を保護する様に巻き付けて俺は中学の時の先輩でいて…兄の恋人だったデイダラを
その場に残して走り去っていった。


「やいコラ!この冷血漢!!オイラをこんな目に合わせといて置き去りかよ!」



罵倒する声を背中に
振り向かず
珍しく息を切らして
走った。


どれくらい走っただろうか、検討もつかず場所も把握出来ずだったが、休日で誰も居ないだろうオフィスビルが倒壊する最中…
立ち上ぼる焦げた黒い煙り。


朱色の機翼……



見つけた…



恐らく、こいつが
あの凄い自衛隊機だ。


「……なんで…お前がここにいんだよ……」


聞き覚えのある声…



「な‥…お前は……」



薄煙となり晴れてゆく煙……
朱色の翼を背中に背負い小さな身体から兵器の断片が突き刺さり
金属を身体にゆっくりと納めて行く……不思議な光景を眼にする。




「……お前にだけは見られたくなかったってーのに……」



言葉を失った……
血だらけの罅割れた皮膚がみるみると修復して行く様に……
兵器が体内に沈み埋め込まれヒトのカタチを形成して行く……


これは現実か?
まさか……
有り得ない。


人間がこんな風に機械と融合してるなんて……






「…なぁ……サスケ。…オレさ、何だか最終兵器にされちまったみたい…」


「…――最終…兵器?」


「へへッ、どーしょっか?」



碧い瞳が
哀しみに満ちていると言うのに眉を垂らし
おどけるみたいな笑顔を作る。


「……そうか、頑張れ。」




何をどう返答して良いやら解らず、呑気とも思える労いを短く発していた。


その後、俺は……――
ただただ傷だらけの恋人を抱き締めた。


焦げた機体の熱が
こいつの体温みたいに暖かい……。


















漸くと俺達の住んでる町に帰る。戦地と化した場所から、ほんの数十km離れた町には平和な風が吹いていた。




携帯を手にしシカマルとキバからの着歴やメールに気がつき一報を入れる。



━━━━━━━━━
キバ

ReRe
──────────
サスケ、無事だったんだな!よかった(〃^ー^〃)
オレも無事だったぜィ
シカマルもな〜

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メールから安否を確認し胸を撫で降ろしたのはいいが、シカマルからの電話でキバは耳が聞こえなくなったと言う事を知る。


家に着くとニュースが流れていた。


やはり戦争は現実で
死者や負傷者、行方不明者は7000人に及んだらしい。

それでもこの規模の空襲では最小なる被害だと専門家が口を添えた。



アイツが、そう食い止めなきゃ被害は当然の如くと言ったところか。




そういや
デイダラは
家を出てった兄とは
まだ一緒にいるのだろうか?


あの日から兄からの連絡は一切途絶えた。

父さんも母さんも兄の話はしなくなった。

優秀な兄に跡目をと期待していただけに父さんはデイダラとの仲に猛反対をした…


結果…
兄は、この家を捨てた。旧くからの名家である家紋を破り捨てて……



俺とナルトの仲を知ったらやはり父さんは反対するだろう……



そうなったら俺は
兄のように家を出るのだろうか……





巡る思考……

考えても答えは出ず……


瞼の裏側にナルトの姿を焼き付ける。

あんなにボロボロになってたが……
大丈夫なのか?


ナルトはあの後、静かになった空から駆け付けた連中に保護され空へと消えていった。



現実なのか夢なのか
把握出来ないナルトの姿と笑顔が交互に脳裏に浮かぶ……



俺はいつの間にか
飯も食わずに眠っていた。































「おっはよー!サスケッ」


何事もなかったような眩しい笑顔が朝陽に反映する。



後から繋ぎ伸ばす手をぎゅっと握る。



長く傾斜する坂道になると俺の歩調についていけない様子。


小走りになる靴音
切れる息すら愛らしい。


「サスケ、もちっとゆっくり……って、うおッ!」


小石につまづいたか?

アスファルトが擦れる音に立ち止まる。


「…ドジ。」


両手で鞄の水平を保ち地に蹲るナルトに離れた手を差し出し
身を起こす。


ナルトは相変わらずトロイ。


「よかった!鞄は守った!」


「また派手に転びやがって鞄より身を守れ。手、擦りむいてんぞ」


「こんなの放っときゃあすぐ治るって。オレってば最終兵器だかんな!」

ペロっと傷を舐めて
ニッと笑うナルトの口に刻まれた台詞。

やはり夢じゃなかったのか……

しかし何だって
そんなに明るくしてられる?

理解ならねェ‥



「なぁなぁ、それよか昼飯!オレさ早起きして作ってきたから、一緒に食わねェ?」



「……お前、弁当作ってくれたのか?」



「マズいと思うけど、卵焦がしたしウィンナーもヘンなカタチだし……でもトマトはちゃんと切れたからヘーキ!」


ささくれた手の側面が修復していくのは
あっという間だった。


再び繋いだ手……

休日前に繋いだ温かさは失われていた。




「楽しみにしてるよ…、お前の手作り…」


「オレもサスケと飯食えんの、楽しみだってばよ!」



ニッコリとする
屈託のない笑顔……






ナルトは相変わらずドジで可愛い……。

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