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Destiny-1

目的の場所に到着すると真夜中過ぎの町並みを眼下に眺める。

テメーんちも気になっけど、自然と目線はアイツのデカい邸宅にと向いていた。


こんな時間だ
もう眠っちまってんだろーな‥、なんて考えながらテラスみてーになってる柵上に両肘を乗せ上空で冷却した手で頬杖をつく。



戦争の被害を一切受けない
この町は平和だ。




それを満足とするよーにゆっくりと瞬く。




ここでサスケとの
恋がはじまって



ここで
恋を終わらせた…‥


何も訊かずに
何も言わずに

映像だけを観て
思い込いこんだオレの一存で‥









アイツに逢えなく……って、オレが自発的に逢わねーようにしたんだけど‥…──
それから
どれくらい顔を見てねーのか指折り数えてみたら1ヶ月は経っていた。

その間にわかったコト気ィついたコトがたくさんあった。


まさかデイダラさんがイタチの奥さん‥つっても正式には結婚してねーみてーだけど、紙切れ関係なしにあの二人は確かに伴侶だった。


それ知って
オレが勘違いして
願ったコトが叶ってなくてよかったとホッとする。


デイダラさんに
渡した写真
イタチの血が染み付いててグロいかなって思ったけど最期まで肌身離さずだったのを伝えたくて拭き取るコトもしなかった。
心底惚れたヤツのモンをキモチ悪いとか思わねーと思うし‥…
アレ見りゃあ何があったかは言わなくても
わかると思ったから。



写真…

付き合ってオレが最終兵器んなって少しした頃だったけ。


サスケとオレは
この町より少し離れた場所にある水族館に行った、バスに乗って。

アレが最初で最後のデートんなっちまったな。


そん時にサスケがオレの写真が欲しいと
持って来た簡易カメラ。

やったら写真を嫌がったのは
フツーじゃねーオレを受け入れてくれて
守るとか言ってくれて恋人って認めてくれて

すっげー嬉しくて
側にいようって思って、そんで写真じゃなくて、本物のオレを隣りで見て欲しいって願ったから………――

サスケには
そのワケも言わねーで
ただ駄々こねるみてーに「いやだ!」って嫌
がって首ブンブン振っただけ。

その様子見て
チィって小さく舌打ちしてカメラしまった
そんなサスケを見て「ごめん」って言ったらワケも話さなかったのに「その代わり毎日、逢え‥」って言われてコトバにしなかったのになんで?って不思議に思ったのと同時にビックリして嬉しくて……

「うん!」って笑顔で頷いて手ェ繋いで
ぜってー‥この手を離さないって思ったのに……――
オレは小さなモンに躓いて派手に転んじまった……。





一言、謝りたい。


でも
逢わない方がいい。


わかったんだ。


時間は解決してくれないってコトと
誰かを真剣に愛したら、その想いは一方通行でも一生消えないってコト。




オレは兵器としてじゃなく人として少し成長して
見えたもんがあった。

交換日記に書きたくても書き表せない
誰かに伝えたくても口に出来ないコトバ。
断ち切れない絆と想い。

目に映るもんが全てじゃなくて
映らないものの内側が大切で、そっから出来てくもんがあって
そーいうのを育てたい……
そーいうので自分を
成長させたい。


いつかは言わなくても伝わるもの……

それは逢っても
逢わなくても
作れるもの……



サスケが気ィつくかどーかなんてどうでもいい。
ココに残しておきたい、キモチがある。


書いたもんは残らなくていいから刻みたい…

二人の秘密の場所の床に…

テメーの胸に…



腕を降ろして
頼りねー灯の下へと進みしゃがみ込んで
床に指文字を走らせたく人差し指を立てようとした、その時
見つけちまった……
サスケの文字。




サスケを想い
サスケを瞼の裏に描くだけで心から笑えて
サスケが誰かと幸せになるコトを望んでて
それを守りたいと想ってたのに……――





瞳に刻まれたメッセージに呼応し溢れだす涙。



したためるよう
床に身伏せ口のカタチによって持ち上がった頬を擦りつけた…

逢いたい




の文字上に。










今日は色々あって
疲れてたんか、
オレはその文字に片頬をつけたまま
いつの間にか眠っちまってた。

冷たくて堅いコンクリートの床に
上着のない
破れたTシャツを着た上半身を突っ伏して。










ふわりと背を覆う
あったかいもの……






「頑張ってんな。」って励ましてくれてるみたいに頭を撫でるあったかい手。




夢の中なのに確かに感じる温もりとキモチに安心して微笑むオレがいた。



夢を見れて安心してるオレがいた。







世界中のどこにいても大丈夫。






目を閉じると逢えるから……。





サスケ…


お前に……。




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