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distance-9(side イタチ)

サイの亡骸を抱え様と体勢を変えた時に一つ気配を感じる……


「やっぱり、カブトじゃ無理だったようね…」


サイを抱える事を止め、そう‥地に寝かし付けて立ち上がり大蛇丸へと見向く。


「ふふ…やっと見つけたわ。」


カブトの半欠けた頭を足蹴り潰して
跳ねた血を特有の長い舌で舐め啜り悪辣と笑う大蛇丸を冷淡に見詰める。


「私の部隊を全滅させるなんてやるわね。流石は優秀な教え子‥と言った処かしら?」


「………――。」


「だけどね…
私だって同じく、だわ…。」


御互い敵将のみと為った訳か……‥――


「相変わらずな遣り方だな…」


「あら、嫌な言い方しないで頂だい。ヒントをあげたのよ…。可愛い教え子のために…」

「何が望みだ…?」

「前から言ってるでしょ?私はね…イタチ、アナタが欲しいの…。一緒に人間兵器を集めて一つの国家を建てない?
私とアナタなら可能だわ…」

俺に近寄り頬へと伸びる手の指先が微かと輪廓を伝う。


「今更だと……知っててもか…?」


「アナタと…後…CU-BIが欲しいの。」

大蛇丸の手を払い退ける。


「……俺が欲しいのは敵である、お前の"死"のみ……」


「交渉決裂かしら?」


「……‥当然だ…」


デビルズアームを向けると大蛇丸を武器を地に捨て両手を掲げた。

「ねぇ、決着をつけるなら…人間兵器らしく、しない?」


其の意図を察して
手に持った武器の一切を捨てる。


「……望む処だ…」


「……ふふ、‥じゃあ――‥行くわよ。」


身体のみの攻防……
何だかこうした闘いは懐かしい。


やはり大蛇丸は強いが俺の方が遥かに優勢だった。


「やっぱり強い…わね………――だけど、私は負ける訳にはいかない‥」


人指し指を食い千切る大蛇丸の指先が地に落ちるより早く、銃弾が俺の蟀谷(こめかみ)を掠めた。


「避けるなんて…流石だわ…。でもね、指先に仕込んだ、この青酸弾は掠めただけで致命傷になるのよ?」


「……卑劣な奴め‥」


「戦争に卑劣も何もないじゃない。そんな事言うなら、アナタの居る国のが卑劣よ…。米国の工化学を利用して、独自にあんな化け物を開発するなんて…!」

猛毒が傷口から徐々に巡っているのだろうか力入らぬ身体……

暴行を止めぬ大蛇丸……


この侭では負けてしまう…



一撃で良い……


銃を手に取れば仕留められる……


蹴られた衝撃を利用してデビルズアームが転がった方向に腰つき手を伸ばす。

併し
逆に大蛇丸へと渡ってしまう。


「残念…だったわね。」

デビルズアームを片手に持ち銃口を俺に向け放つ。

夜空に砲弾が響く。


「……う……っ……ぐ、……な、…何よ……これッ!…腕が!私の腕が――…!!」


奴が定めた狙い場所を外したのは俺の思惑通りだった。
銃弾が急所から程遠い太腿へと食い込んだ。

与えられた衝撃で地に落とした銃よりも欲した弾丸。

此れさえ手に入れば………

渾身の力を込めて己の傷口から指を入れまさぐり、銃弾を手探って体内から取り出す。


デビルズアーム……
其の弾圧と破壊は尋常では無く。これを使い熟せぬ者の腕の機能を粉砕する威力を持つ、まるで悪魔の様に。その名の如しと、由来ある俺専用の非常に重量感のある武器だ………

「生憎だが…其の武器は人を選ぶ……――
どうやら貴様は適わなかった様だな…」


片手に納めたデビルズアームの銃弾を
思い切りを付け強く握り込んで拳を銃筒に見立て己の握力を発条にと加速した圧力を与える。


其の弾丸は大蛇丸の額を撃ち抜いた。



「…え……?……」


「人間兵器…なら指になど銃を仕込まなくても、こうして己の拳を拳銃にする事も可能……――」


「…まさか……私が………なんて……」


地に伏せる大蛇丸……を霞み行く視界に納め、敵を全て撃退したと安堵し猛毒の断片にて暮れ行くだろう命の前に………


アイツの写真が置いてあるあの場所へと
片足を引摺り……
重くとなる身体を動かして行った。

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