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ビバノンノン

風呂場へ入り、湯を浴びて浴槽に浸かると、一気に安息へと見舞われた。
湯煙で曇った格子窓を開ければ、満天に瞬く星に見惚れる。
都会じゃ見れない降ってくるような星々に表情も緩やかと撓む。

のぼせそうなくらい湯に浸かりながら、星を眺め。
それから頭を洗い流して洗顔し、体を洗っていた。
そうした時、突如としてガラリと磨り硝子の戸が開いた。

「あ、兄ちゃんまだ入ってたんか…コレ。」

ナルトの弟だろうか?

「ごめんだ、コレ。」

また何とも特徴的な言葉を語尾につけ、戸閉めようとしていた。

「もう出るから気にするな。」

「そっか、わりィな兄ちゃん!」

歯を剥き出して人懐っこそうにそいつは笑い。浴室を走ってはドボンと湯に飛び込んだ。

「オレさ、木の葉丸ってんだけど、兄ちゃん兄ちゃんは何て名前だコレ。」

「…サスケだ。」

「サスケ!忍者みてーで、かっけー名前だな、コレ!!」

そう言えば、猿飛佐助と言う名の忍者がいたか。
俺の名の由来は先祖からだとは聞いたが、そういうのとは無関係だ。

「この里ってな、昔々は忍者がいっぱいいたんだって、爺ちゃんから聞いたぞコレ。」

「へぇ…。」


「ねぇねぇ兄ちゃん!、兄ちゃんの事サスケの兄ちゃんって呼んでいいか、コレ」

「…ああ。」

「やった〜!って、なんだもう出ちまうんか…コレ。」

「…長湯、しちまったからな。」

「ちぇっ、つまんねーぞ、コレ!!」

流石にナルトの弟だな。コイツも随分と人懐っこい。
こんな土地で育つと、ナルトやコイツのような朗らかでいて大らかな性格になるのか?
もしも俺が此処で生まれ育っていたら…――環境が人を育成すると言うからな。
それなりに順応していたかも知れない。
何故だか不意にそう思ってしまい、フ…と薄笑う。嘲るかにして。

着替えを終え、部屋に戻ると室内はヤカンの湯気で程よい湿気に保たれ、心地良い暖かさが漂っていた。

敷かれた布団が視界に入ると雪崩込むかに身を倒して一息吐く。
その途端、空腹感よりも、眠気に襲われ。少しの間だけと瞼を閉ざすと、余り乗らない電車やバスに長時間揺られ、慣れない山道を歩き続けた疲労が、真綿に染み込むように癒やされていった。



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