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兄弟っていいよね

イタチの部屋に連れられて、ベッドへと腰掛ける。
それから、身内になら問題はないだろうと父さんから受けた使命を若干濁しながら話した。

「…その話は俺も直接、幼い時分に曾祖父から聞いた事がある。」

「な、なんて言ってたんだ?曾爺さんは!!」

「何れはお前も眼にする事があろう…と。其の時には頼むとな。」

「……そうか。」

「その意味が解るか?」

「…え?」

「つまりは、長となりし者を皆で助け、貢献しろと言う事だ。」

「!!?」

「…サスケ、お前は決して一人じゃない。オレが、皆がお前の手足となりお前を支えてゆく。だからこそオレはより以上の知恵と体力が必要なのだ。良く言うだろう?後世に名を刻す主君を造るのは、有能な参謀の如何によってだと…。」

イタチの説得力のある言葉に酷く納得し、頭を一撫する手には安堵して、微笑む表情に釣られてしまったかに表情を緩ませ、その対面を眺めては「…ああ。」と頷いていた。

「数十年も先の事など考えるな。今はただ、宝剣を無事に持ち帰る事だけを考えろ。」

「ああ、そうさせてもらうよ。」

イタチの言う通りだ。どんなに短い期間であれ、フィクサーと呼ばれる政財界の黒幕になるには、どんなに有能で尚且つ、太いコネクションあったとしても間違いなく数十年はかかっちまう。
その間に移る世襲も現在とは大きく変化してる事だろうしな。

「…お前の顔を見るまでは、オレも此処に居よう。」

「いいよ、手筈はもう取っちまってんだろ?」

「構うものか。大学が始まるのはひと月近く先だからな。」
「なんだ、そうだったのか。」

「…ああ、父上は何事も万全にと準備すら早めに済ませてしまうタイプだからな。…夕食の時までには話しをつけておくよ。」

「……ありがとう、兄さん。」

何事に対しても冷静なる判断を下し、卒なくと何でもこなす。カリスマ性も統率力もある兄の方が、俺なんかよりよっぽどフィクサーとなるに相応しい。
その高い素質は生まれもってのものだろう。
恐らく現在も未来も俺はイタチを超えられない。どんなに努力したって追いつきもしない。

それは昔から感じていた。
だが、俺には兄にはない“何か”があるからこそ、使命を受けたのだろう。

妬み、羨むのはもうやめよう。

俺は、俺にしか出来ないと渡された事を糧として、己の出来うる事のみに専念しよう…。


現在も寸分違わずだろうが、この時の俺は、何ひとつ未来を把握しちゃあいなかった。


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