Epilogue. 時は進み。 青き星の大地は一度、高度な文明を淘汰するかに形を崩した。 生物が自分の命を維持しようと蝕みを削りて、治癒するが如く。 活発に活動しては成形を整え。命ある者とが共存し易い環境を造り直し。 そうしてまた有機に満ちた本来の美しい色を取り戻した。 人類は、高度成長した文明により退化してしまったという元来の能力を携えて繁栄し。 利便に頼り過ぎて、享有した能力が失わないよう節度を踏まえ、新たなる歴史を刻み続ける。 此処は“忍”と呼ばれる者達が集い、各地に散りばめられ、均衡を保っている大陸。 元は一つと云うのに、分裂しては対立を繰り返し、六道の循環に背いて勢力を露わに頭角を示す輩が現れた事により戦乱の世となった地。 其の者、自らを呪われた一族と称し、九尾と呼ばれる性質を操る力を手に入れ。 生き長らえては、魔となる十尾の化身を造りて、この地を我が手に納めようと企てる。 そんな一人の男が招いた陰謀渦巻く大地へと、永きに渡り魂を清浄させた二つの御霊が降り立つ。 一方の者は寸分先に現世へと下り。 禍々しきとされる血系の元、毀誉とされる他の者にはない増大な力を生来より秘めて、その産声をあげた。 もう一方の者、九尾狐の因縁のままに命を宿し。産声をあげて後、父母の命と引き換えに古の獣の姿を纏った邪悪な力を体内へ迎え入れる。 「ンぐンぐ!」 「うっくん、うっくん…」 「二人ともたくさん飲んでるね。」 「ふふ、イタチもね、赤ちゃんの頃は、こうして母さんのオッパイを沢山飲んでたのよ。」 「……そ、…そうなんだ?」 「ええ、そうよ。」 「…でも、なんでこんなにたくさん飲んでも、その――…、…なくならないの?」 「母さんのオッパイにはね、強い子を育てる力があるの。だからかしらね。もっともっと沢山飲んで欲しくて、無くなるどころか、ドンドンドン…オッパイの袋の中に貯まってしまうのよ。“強くて元気な子になあれ”って願いと一緒にね。」 「……――。」 「ミコトちゃーん、居るかい?肉じゃが拵えてきたんだけど…」 「あ、ハーイ。…イタチ、ちょっとだけこの子達お願いね。」 「はい。」 「ふぇ…」 「…マ、…ぅま…」 (サスケもナルトくんも、まだ足りなそうだな?あんなにたくさん飲んだのに…) 「2人とも、そんなに強くなりたいの?」 「だぁ!」 「…ぅー…!」 「じゃあ後でまた母上に、たくさん飲ませて貰うんだな。」 「あ〜ぅ!」 「…ンマ…」 「……オレも頑張ってたくさん修行しよう。兄として2人の見本になるような、強い忍になるために。」 乳兄弟として過ごす、此の時。 因縁だろうか。運命なのだろうか。また九尾との関連を持ったのは…。 そんな前世での巡りを以て流転した事は勿論、知る由はなく。波瀾なる時世を過ごす事となりゆくとも露知らず。 見詰め合い、屈託のない笑顔を照らす、二人の赤子。 互いに由々しき者にと染められ、対立は免れぬ運命に在るも、いつぞやは最も親しく大切な存在であると認識しあい世界を変える……―― その物語のページは、まだ開かられたばかりであった。 【完】 [*前へ] [戻る] |