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屍姦※R18


あれだけ鳴いていたナルトの声は、俺が奴の部屋に潜り込んだのを機に聴こえなくなり。寝室とされた部屋の薄そうな外壁の向こう側は、尚も沈黙を保ち続けている。

壁際に配置してあるベッドを激しく軋ませる音だけが鳴り響くその部屋で、真っ先に双眸に焼き付いたのは屍姦に励むサイの姿だった。

瞬きのない瞳は、その鮮やかな翠色に曇よりとした霞みを渡して部屋の採光を虚ろに映し、焦点が定まらず。シーツに散らかる桃の髪と、死斑や疵(きず)痕目立つ肌は、奴の好き勝手なる振る舞いで共に揺れ動き。開かれた重い脚の内側では、止む事のない摩擦が繰り返され、迸る飛沫がつくる淫らな音律が奏でられている…。

暖かみのない膣壁との交接を恍惚とした表情で眺めては、昂りを一段と激しくするサイの様は、気が狂ってるとしか思えない。

そんな奴の小刻みに動く腰を見過ごすしかない状況に遺憾を感じ、俺は腹立たしさを増幅させていた。

「…射精(で)る、また射精るよ、サクラっ!」

絶頂を知らせる声に『やめろ』と嗾けるが、当然のように届いちゃいない。しかし、この冒涜を見す見すと許す訳にはいかない。感情のままに素通りする事は承知で奴の横面に接近し、サクラから偏執する輩を引き離そうと拳を挙げた、その時……

『ダメだ!サスケェ!!』

今まで静かだったナルトの鳴き声が言語となって俺の鼓膜に届いた。
外からではなく、襖向こうから聴こえたその声に一旦拳を止めはしたが、膣奥深くまで陰茎を挿し込んでは宿る事のない種液を植え付けるサイの顳(こめかみ)に落ちた髪の感触を一瞬だけ感じられた事の方が気に留まり、次は必ずと再び拳を振り翳す。

「ニャアアー!!」
『サスケくん、やめてェ!』

ナルトの鳴き声と襖を引っ掻く物音。それに加え聞き覚えのある声を耳にした刹那、何者かが俺を羽交うようにして、しがみつき後方へと誘い、サイとの接触を回避させた。

『サイに触れないで!…お願い。』

背中にある筈のない感触が蔓延る。
それが誰のものなのかは声色で即判断できた。

幽体同士だからか、こうした接触が可能なのだろうか。


『何故とめる?』

『今のサスケくんの状態だと、呪い殺す事を選択してしまうの。…わかるでしょ?』

『……――。』

ナルトに言われた忠告を思い出し、サクラが何を伝えたく、姿を現したかを理解する。

その口振りからして、どうやらサクラも他界での選択を知っているらしい。

『あんな事されて、お前は平気なのかよ…。』

聴こえただろう猫の鳴き声や物音をも気にせず、抜け殻となったサクラとの性交から得る快楽に身を委ね、滞りなくと欲液を吐き出す事に未だ集中しているサイに対してサクラは仕方ないと言った様子で俺の背に額を宛行(あてが)い、しがみつく手を震わせた。

『……ありがとう。私は大丈夫だから、ね?』

愚問だった…と下げた拳を握る。生前、サイとサクラに何があったかは知らないが、この有り様を見て平気な訳がないのは当然だろう。

『…ごめんなさい。サスケくん。』

『お前が謝る必要はない。』

『……ううん。サイをこんな風にしてしまったのは、私にも責任があるから。』

『…どういう事だ?』

振り返ってサクラの両肩を掴み、密着解き。サクラの表情を真摯に窺う。

『――それは…』

サクラは憂い帯びた瞳を逸らして唇を結び。それから鈍すぎる瞬きを一つ付けた。

その背後では、一方的な性交を終えたサイが、サクラの冷たい首筋に唇を落とし、再び異常なる交遊を繰り返そうとしていた。

『話せば長くなるわ…。』

『構わない。何故俺もお前もコイツに殺されたのか、俺には知る必要がある。』

『…そうね。サスケくんは私とサイの被害者だものね。』


ナルトの鳴き声は止み、実質的にサクラの肌を口撫ぜ、囁きかけるサイの声だけが小さなこの部屋に響いていた。


『…向こうで聞く。』

どうしても視界に入る光景が居たたまれなくなり、肩掴む手を離して先に襖を抜け、部屋をでる。

すると、感触を与えられずな足元にナルトがすり寄ってきた。

恐らく、半開きとなった小さなベランダの窓から入り込んだのだろう。

触れる事は出来ないが、ナルトとの距離を近付けたく、しゃがみ込むと、ナルトは膝間に入り込み小さな声で「にゃあ」と鳴いた。

『この猫、サスケくんの?』

後から此方側へきたサクラが前屈みとなりナルトを覗き見る。

『ナルトだ。』

サクラは触れられないナルトの頭に手を伸ばし、その形をなぞるかに撫でながら、切なげにナルトを見つめた。

『……ごめんね、ナルト。アンタのご主人をこんな目に合わせてしまって…』

ナルトは自らサクラの掌に頭を擦りつけるようにしてクンと顔をあげ瞳を撓め、鈴を転がしたみたいな声色で「にゃあ〜ん」と鳴いた。

まるでサクラを慰めるように。




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