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*.・Stare・.*
星屑の下で‥


「あッ!サスケェ!!
上見ろ、上ェ――ッ」





ナルトが声を張り上げると
それを合図とした様に一斉に星屑が流れ落ちた。




紺碧に流形を描く
発光の線が絶え間なくと地平線の彼方に
消え行く──‥



その数は数え切れない程である。



「うっひゃああ―ッッ…、すっげー、すっげー!!
すンげェエエ、…キレーだってばよッ!!!」


どうしても
恋人と一緒に見たかった風情に躍る感情を隠す事が出来ない。



「たっ、た〜まや〜!!」


花火見物の時にあげる掛け声をあげ
騒がしくと、はしゃぐ。



そんなナルトとは
違って
サスケは圧巻とした
天体の情景に感銘し
声を失せ


身動く事も出来ない様子で
瞬きさえも忘れたかに止むことない360℃のどの方位にも
降り注ぐ箒星に
目を奪われていた。






サスケの隣りに足場を落ち着かせる頃には
幼児の様に
はしゃいでいたナルトも流石に声を閉ざす。




しかし
口は
ポカリと開いた侭である。



真上に視線を向けずとも視界に飛び込む
星屑達が催す光のショー。





手に
届きそうな星空

辺り一面
頻繁と降り注ぐ
星雨の粒は
きらめくダイヤモンドのよう…──

その
ひとつひとつを
確かめるが如く
ナルトは両腕を広げ
拳を開いた。

ぽつぽつと降る
にわか雨を確認する
仕種で。





一方、ナルトの
傍らにいるサスケは
寡黙となって
漆黒の玉に光線を宿していた。





きらきらと光り輝く
星たちが
織り成す
この幻想的な情景に
吸い込まれそうになる


そんな感覚に
見舞われ
心身ともに
忘却と
なった二人…──



どれほどの
時が経っただろうかは知れず…―――



声を立てる事のない
空間に佇む二人を
包み込むかに流れ続ける
星屑たちから
目を離す事無く、

ナルトが瞳を縦広げた。


「はッ!…いけねッ!願いごと、願いごとォーーっ」

何かを突如と思い出したかに声をあげ
そしてパチンと手の平と手の平を合わせ

流星の
シャワーを浴びる最中に拘らず
一切を振り払う様子で
目を瞑り
何やらブツブツと零し始める。



「…南ァ無――‥じゃあなくて!、…えーと、えっと…………サスケを追い越して、
オレが火影んなったら、サスケがニコニコ‥って感じで笑ってくれますよーにィッ!」


「…!?…」


漏れたナルトの声に
サスケが漸く身を動かす。



束なり墜ちる流星の
百を越える光りより、
何よりも
ナルトの
願声が感慨深く、

声も掛けられず

唯、
箒星へと懸命に願う
真剣な顔つきに、
目を…

ブツブツと何度も何度も繰り返す呟声に
耳を…

自然と預けていた。



噎びそうになる想い
が薫き、昂まる。


サスケは
そんな胸中を携えながら、
瞳を閉ざすナルトの
横顔の隣りで
見せた事の無い
穏やかな微笑みを零し、その顔を見詰める。


サスケの類稀を見ない
この笑顔に
気付く訳も無いナルトは
恐らく小さな声を
発している事にも
気が付いていないだろう。




それからサスケは
正面にと向き直り
ナルトの真似をするように
両の拳平を合わせ瞼を閉ざし、
語り継がれた風説に合わせて
声を立てる事なく
胸の内のみで
ナルトを
いつまでも、守護したい
と願い
そして生涯共々、
ナルトを愛したいと密かに誓う


ナルトも
また、同じし時…

サスケを永久に愛する
と心の中で彗星達に宣誓していた。





その真剣たる
二人の想いを
星天は
聞き届けたかに
一際、
大きな光りの矢を放つ。



何かを感じた
サスケとナルトの
二人は
揃って目蓋を開き

夜空から放たれた
瞬光を
瞳に焼き付けた。





これが最後の
彗星群の

光の欠片となったのだろうか。




もう
何処に瞳を馳せても
星空には止どまった
光りしか瞬いていなかった。






静かに夜風そよぐ
丘に佇む
サスケとナルトは
この流星を
二人だけで浴びた気分と錯覚し

互いの顔を見合わせ
仄かな笑みを照らし合っていた。



先に口を開いたのはサスケ。

「ナルト、お前の願い
一つは、…もう、…叶ったぜ。」



「へ…?」


キョトンとした碧瞳は
理解不能と見開く。



その顔をフと笑み囲う眼差しで見詰めるサスケが、金色の横髪へと片手を伸ばす。


軽やかに梳きながす
指に
絹糸が靡くと
二人の距離が縮まる。



ナルトの片頬に暖かい拳が固定する。


睫毛を綴じ行き
近寄る麗顔に察して
碧玉に蓋をして行く。


唇同士が微かと触れ合い、白い吐息が混じり合うと
トクトクと流れ打つ
鼓動だけが静寂した星空の下に響いた。




―*.Fin・*―







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