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*.・Stare・.*
ナルトの誘惑
任務を終え灯のない
家に辿り着く。


米を炊き
一人飯で食らう。


俺以外
誰も居ない居間の
卓袱台が常に大きくと思える。


約三年前は
こうではなかった。

向かい側に無口な父さんが座り…――

隔たりのない台所に
近い席に母さんが
いつでも
すぐにおかわりを用意出来るように座っていた。



俺の隣りには
兄さんと呼び憧れた
男が座り

時折
黙ったまま好物を
分けてくれたりもした。



過去の情景を
思い浮かべるなんて
どうやら酷く疲れてるらしい…


今日の任務は
あのウスラトンカチのお陰で散々な目にあったからな。








サスケは溜め息を吐き
過去なる家庭の有様を思い起こした事を
作戦を無視して
飛び出したナルトの所為にする事で心情を
逃がした。



空になった食器を重ね後片付けをし
早く床に着こうと
風呂を用意しに
縁側に面した広い廊下を渡る



すると
窓を叩く音ナルトの姿が視界に入った。




「サースケェエッ!!
開ッけろォオ!
早くッ、早くしろってばよーっ!!」




悠長に構え
高い位置から見下す
サスケを
窓叩く拳で急かしている。



「ったく、
デカい声だしやがって…」


仕方無くと窓を放つ。

窓を開けた瞬間、
血相を変えた
ナルトがサスケの
片腕を両手で掴み
グイグイと引っ張る。


「オラ!
散歩いくぞッ!!散歩!
サスケ、お前の好きな夜の散歩に連れてってやっから、早く外出ろっ。はやくッ!!」


一段と強く引っぱる腕に偏る体勢を保つ為と重心を変え足を踏み縛る。

忍の癖に白い吐息を切らす、ナルトに片眉を引き上げる。


「生憎、俺は犬じゃあない。
…そんなに散歩がしたいのなら、お前一人で行って来い…。」



慌て居るナルトとは
対象的に
冷静沈着な態度で放ちたサスケの
己の計画を無碍にする語句に
ナルトは腹が立ち、
睨み据える。


「一人で…散歩なんてなァ‥、オメーんち来るまでに、もう‥とっくにしてンだよ。
そんくれェも、わかんねーんか?、サースケちゃんよォ!!」


「何だと…?
もう一遍言ってみろ…、ウスラトンカチ。」


「ああ、何度だって言ってやらァ‥…、サスケちゃん。
窓を開けましょ、ルルル〜な感じで呼んでやんよ、サースケッちゃぁぁああ――ッん!!」



「………そんな買い物行くのに財布を忘れるような主婦を呼ぶように俺を叫ぶんじゃねぇ…」



「なにィィッ!!
サ、…サスケが…、
まさか…サスケに限って、サスケまで知ってたなんてッ!!
嘘だろ、オイッ!
お前が膝を抱えて
あのテレビ番組を見たなんて!!
おんなじ片仮名のサが付く名前だから、ついとか言い訳すんなよな!」



落胆したかと思いきや、
次に意味も分からずと
怒るナルトの両肩を掴み真摯なる眼差しを向けるサスケは
廊下より低い位置に
佇むナルトを
己の胸に引き寄せ、
規則正しく流れる鼓動の音を提示した。


これは興奮した動物を落ち着かせる術である。


「落ち着け…ナルト。俺が膝を抱えて見てたのは湖だけだぜ…」


静音なる血流に耳を預けると自然と呼吸が
それに合わさる…。


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