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探検うちはンち
野菜調達忍
しかし
手土産を持ち声もかけずにそれをさり気なく置き、一旦は去っていったが、恐らく何等かの事由を託け二人の生活ぶりが心配と顔見せに来たのだろうと考えればイタチは真から悪い人ではないかも知れないと思える。本意は理解出来ないが……と頭の中を巡らせる。


一方、材料を取り出すサスケの心境は、複雑その物であった。
何故、一族を惨殺した実兄が平然と切り捨てた家にやって来たのか?
うちはと九尾狐の関連を仄めかすのか?
考えれば考えるだけ混沌とした感情が渦巻く。けれども現況の幸せを崩したくは無い……と成し得て顔を見たくないが為、自ら夕食の支度をと名乗りあげ、手順を進める。


ナルトはと言うとイタチとサスケの事、うちはの家と己中に封印された化け狐の関連について全く深くとした事柄は現在は知らず、また知る術も知らずだが孰れは解る事だと楽天的に割り切り、それよりも確かに団子は美味しかったと思い返していた。あの青いデカい輩があんな優しい味の団子を作ったと思案するほどに不可解となるも、そんな過ぎりも立ち消えサスケに指示を受けた手順をふむのに手一杯となっていた。

各々が別なる皆で下拵えをする最中、居間の硝子戸を叩く音がした。

逸早く気が付いたイタチは窓外に一瞥を送るが立ち上がって出迎える気は無いらしく、台所で作業するサスケ達へ「誰か来たぞ…。」と言付ける。


ほぼ一斉に窓へと視線が向けられ、各々の瞳に口布と額当てで風貌を隠した銀髪男を照らす。

「あ!カカシ先生っ
待ってたってばよ!」

手を止めて声を掛け駆け寄り、窓を放ち家に入るよう勧めたのはナルト。近場に居るのだからイタチが出ればいいのにと思ったのはチョメ。

イタチを家族とは認めずなサスケは、客人を迎え出ないイタチに対して一応、己の立場は弁えてるいるのでは‥と憶測をたて、イタチの食事分に毒性の強い丸薬を混入する事を止どめた。
実はと言えば
サスケが自ら食事の支度を拵えると言った所以はこの目的の為であったとは誰一人として知らないだろう。

状況は鳩に括られた手紙の内容しか知らないカカシが籠を担ぎ片足から家の居間へとあがり込みつつ片手をシュタッとあげる。

「やあ、諸君こんばんは。」


時間にルーズであるカカシにしては早い到達だ。


「御無沙汰してます……カカシさん。」

「あれ?イタチじゃない。お前が里帰りとは珍しいね‥」

籠を床へヨイショと降ろしながら屈託なく挨拶を交わす二人をサスケとナルトが呆れたと言うよりも怪訝な顔つきでジトリと見やる。

「そーいう‥問題なんか?」


イタチはS級犯罪者で以前カカシと対峙し敵対する位置にいる。
サスケとナルトにしても又然り。

けれども、
こうも緊張感もなく実家の居間で和むイタチを見ていると途方に暮れる。

「お!晩ご飯でお持て成しとは‥サスケもナルトもなかやか気が利くじゃあないか。
ちょーど手土産にって野菜持って来て良かったよ。ホラ、ナルト‥野菜もちゃーんと食うんだぞ。」

「う‥、…ヨケーなお世話だってばよ‥」

苦手な野菜を籠から受け取り両手で抱え引き吊るナルト。

居間に上がり込んだカカシは、嫌味にも似たようなニコニコとした笑みでそんなナルトを見つめた後、飄々した性格の為か違和感無くイタチの側に詰め寄り他愛ない会話を繋げる。

イタチとカカシとの会話を聞いていると己の立場に困惑してしまうサスケとナルトの事情などは勿論知らないチョメだけが楽しそうに調理を手伝っていた。



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