探検うちはンち
イタチとサスケとナルト
「…九尾を守護するにあたり丁度良い決断と言えばそうだが……」
二人の会話に口を挟めずだったナルトが己の膝上で強く拳を握り俯き唇を開く。
「それ――‥…、
どーいう意味だってばよ?」
震える声色が響く。
顔をあげるとイタチを見据えた目付きで睨むナルト。
「オレの腹ん中で飼ってるバケモンがうちはと何か関係あるんか?、………そんで、サスケは…オレとは策略で結婚したって言うんかよッ!?」
チョメはオロオロと話を聞いているしか無く、立場に困惑している。
「…さあ。それはどうかな?
俺では無く、サスケに聞いた方が賢明だろう……。」
吹っ掛けた割には平静なイタチに同意したかにナルトがサスケへと睨んだ顔を向ける。
「…そーじゃねェって、オレはサスケを信じてる。……お前はそんなの関係なくオレと……って。」
「…ああ。」
「イタチってさ、名前からして嘘つきぽいしな!」
「…そうだな、嘘つき(イタチ)は殺戮者の始まりだ。…ありがとう、……ナルト。」
ナルトの背後に回り背から抱き締めるサスケ、険悪な空気が消えた。「……姓名判断か。ナンセンスだな‥」
「とにかく、イタチ‥アンタは出てけ。さもないと……今、この場で殺す…!」
再び一瞬即発なる雰囲気に戻る。
「…サスケ、残念だがお前に俺は殺せない。何故と問うならば、ナルト君…つまり男嫁では子孫繁栄は不可能だからだ。愛人や代理母を利用ならば可能だが、お前は俺とは違い、スーパークールになりきれない。…意外と顔に出るタイプだからな……」
「…俺は浮気はしない」
「…ならば、兄に任せるしか無いだろう。」
「…ああ、頼んだぜ。」
ナルトを抱き締めたまま一族復興という望みをイタチに任せるサスケ。ナルトの顔は複雑な表情を未だ残していた。
悶着が一旦解決したと判断したイタチがチョメへと顔を向ける。
皺と長い睫毛がなければ良く似た顔の兄弟だと視線を紅い眼差しに合わせるとチョメの肩をポンと跳ねるように叩かれた。
「俺の子を産んでみませんか…?」
何てストレートな軟派だろう…。
チョメはイタチへ視線を投げながら、返答を告げるために唇を動かす。
「生まれ変わったらね」
「…それもまた、良いな」
フッと鼻から息を吹かせ笑うイタチは何を考えているのか理解ならずである。
「そーいや、何か腹減ったってばよ。」
ナルトの声を、皮切りに話題が変わる。
「団子、食ったのにか?」
「甘いもんと飯は別腹だかんな!チョメも腹減ンねーか?」
「そう言えば少し‥」
「今夜の夕食は俺が拵える。アンタ何か食いたい物はあるか?」
「サスケが作ってくれんか!んじゃ、オレも手伝うってばよ!」
「…ああ、頼むぜ。ナルト」
「サスケは料理もうまいかんなっ、チョメ、遠慮なくリクエストしてやれってば。」
「じゃあ‥、手伝うから生まれ変わったらねがいい。」
「…生まれ変わったらねか。
材料があるか見て来る。」
「みんなで一緒にクッキング開始だなっ!」
イタチの存在を無視して三人の間で夕食のメニューを決め、サスケを筆頭に三人で腰をあげる。
チョメは外套も脱がずにポツンと一人座るイタチを若干、不憫に思いながらも先程の遣り取りから
サスケとイタチの間に決して聞いてはいけない何かを悟り、兄であるイタチが悪いと決め付けていた。
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