我愛羅 木ノ葉隠れの里は尾獣収集に勤しむ抜忍を集めた組織、暁のリーダーであるペインの襲撃によって崩壊寸前であったが木ノ葉の下忍であり亡き自来也の愛弟子である里の忌み子、うずまきナルトにより壊滅を免れる。 この奇襲により意識不明となった五代目火影、綱手の後継となったのが木ノ葉長老と肩を並べるほどの位置で常に意見を交わしていたダンゾウと言う年輩者が大名の鶴の一声で六代目の座に就任した。 大打撃を受けた木ノ葉の里は現在、木遁使いと波の国の建設技師を中心として復興作業が進められ、同盟国である砂隠れノ里もあらゆる方面で支援する運びとなる。 木ノ葉の隠れ里で起こったこうした一連を基に五影会議を執行う事となりて警戒しつつ道中をゆくすがら、風影我愛羅は一尾として以前、デイダラと言う名の暁の一員と対峙し破れ、己の中に潜んでいた尾獣が暁に手渡りたその時、一命をも失い。後、救出されて長老チヨの命と引換えに蘇生した迄の出来事を思い出していた。 うずまき…ナルト。 奴も九尾として狙われていたのは知っていた…。あの時、オレには守れなかった己の身を守ったと同時、里迄も守り通したのか……。 尾獣は尾の数が多いほど禍々しい力も強大だとするも、それだけではない筈。 詳細を把握した資料は伝達されてないが奴の事だ。九尾の力よりも強い己が忍道とやらの信念とで塞き止めたに違いない… 「………。」 「…我々に御任せを。」 砂漠なる地を過ぎ、樹々が鬱蒼と生い茂る小道でふと足止め、空を仰げば二人の護衛が緊張を走らせ警戒を一層と増させ。張り巡る緊迫感に反応した砂が二人が印を結ぶよりも早く舞い、樹々の小枝と青葉を揺らして先程から捉えていた気配へと向かっていった。 寸時にして的確なる攻撃で地に失せた忍には振り返る事なく道を行くオレの背後で何処の里の者かを直ぐ様判断しては土蹴る音。 そんな報告は不要…。 それよりも気になる余念で実は頭が一杯だった。 その余念は、五影会議の席に着いてから更にオレの脳裏を支配していった。 互いに初めて知るだろう面々。 オレは大した挨拶を交わす事も座談する事もなく、ただ溢れる音声を聴覚器官に流して一度だけ会釈をした。 「さて……、顔合わせも済んだ事だし本題に入るとしましようか。」 火影に就任したばかりのダンゾウが先ずは口を開いた。 それから各国に分配された尾獣達を順々に捕らえてきた組織の経緯を簡易として纏めた情報の開示に至り、木ノ葉の抜忍による追及を雷影にダンゾウは指摘される。 「うちはサスケに関しては抜忍としての危惧を恐れ既に抹殺しても良いとの指令は出してある。……雷影殿の御気持ちは察するも雷影殿の弟君もまた抜忍。いくら雷影殿の身内としても雲隠れノ里の忍が抜忍を庇い立てるのは如何なるものかと存ずるが…」 「火影殿の言い分も解るがしかし!」 「…キラービーはまだ生存していると思われる。暁は八尾を手に入れてないとの情報の裏付けはあります故に。」 「此処に参る道中で木ノ葉の忍らと遭遇したが、そいつも弟の消息と安否の確認に協力すると言っていたか……。」 「木ノ葉の忍に…?」 「…うずまきナルト。確か九尾の……――だったか。サスケ抹殺を取り消してくれとカカシやもう一人の上忍らしき者と共に懇願してきたのだが…火影殿は存じてたのか?」 「否、全く。その粗相には御詫び致すも雷影殿、うちはサスケの始末は木ノ葉に……、この火影ダンゾウに任せて下さらんか?」 抜忍がした仕打ちではあるも、手薄となった木ノ葉としては穏便に計りたいとのダンゾウの意向は非常に解り易いものであった。 しかしダンゾウの意見は水影を始め、土影やオレをも納得させた。 「各里の抜忍によって荒だった事柄を雷影殿のような連鎖的なる考え方で始末しようすれば直ぐにでも大戦を招くであろう。現に此処にいる風影殿も岩隠れノ里の抜忍により一度は命を失ったが言及も追及もその責任も岩隠れノ里へはしていないのは明白だが……」 各影が集まったのは歴史的な戦乱を回避するためとの名目。ダンゾウの意見は可決した。 本音はうちはの血継限界を他里に渡したくないといった所だろう…。 うずまきナルトは 己を狙う組織に加わった犯罪者に対して未だ変わらぬ想いで木ノ葉に帰還させようとしている。抜忍となって復讐を遂げ、その後暁の一員として雷影の弟である八尾を逃がしたものの消息不明とさせ、未だ徒党を組み何かしらなる企てを諮ってるだろう者を親友として…… ……親友。 うずまきナルトはオレの事も友達と言った。 親友とは一体何だ? そんな疑問が沸き始めた頃、各々が独りごちるかの呟きが聞こえ始める。 「四代目風影殿は尾獣の器となる力宿す子を計略して拵えたは良いが、酷く持て余していたと聞いた。」 「八尾のみを抜き去れば……弟はあんな苦痛に見舞われず、嫌われる事もなくフツーの生活出来ると…蘇生法もあると……」 「暁は我々に利用されたのみ。柱間の亡霊に何時の世までも囚われず、忍が望む本当の平和のために……」 「その計らいが実現する日も、そう遠くはないだろう…」 オレには理解出来ない薄笑う音声。 「尾獣というチャクラの権化を古の獣に例えて具現化させるのに成功した初代火影である千手柱間が“世の規律と平和”を盾に、自らが築いた勢力に逆らわぬよう、己の意思による統一を未来までも願い、分配した言わば各国への脅威なる最大の兵器をいつまでも野に曝して置く訳には行かん。その意志を受け継ぎ縛られ続けるのが、果たして忍にとって此の世にとって良いものとなるとは思えん。三代目火影、ヒルゼンは千手柱間の愛弟子である故、知る由はなかったが……。我愛羅殿の父上である先代の風影は納得し協力もしてくれましたが………五代目は如何かな?」 隣に座るダンゾウが耳打ちする如くオレに同意を求めるも把握などしたくはなく。安易に頷く事は出来ずな侭、横目を流せば包帯巻かれた僅かな隙間から紅い眼光が鋭くと答を急がせてた。 此処にいる面々も、嘗ては面識のあった父上も、ダンゾウの持つ、この独特な眼が放つ瞳術に………なのだろうか。 それとも………―― [次へ#] [戻る] |