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ナルト

……サスケ。



どこからか声が聞こえた気がしてハッと目を見開く。





イタチに指定された場所はこの近く…――



みんなは聞こえなかったんか?


アイツの…―――








サスケの…、声が…――
















サクラちゃんもサイもヤマト隊長も

カカシ先生も
みんな……


暁のヤローに気を張らせてる。



敵対する組織の一員とバッタリなんだから当然と言ったら、そーなんだけど




オレは
そいつよりサスケのが気なって堪らない…。



イタチとの対決は
止めやしねー‥



イタチを木ノ葉の捕虜にしてサスケをおびき寄せる作戦だけど
遂行は出来なかったみたいだ。


だけどオレは
本当は、それを願っていたのかも知れない。

サスケが里を捨てるくれェ執着してた戦いだ、そーいう気持ちは何だか分かる。

誰だってテメー自身で決着をつけなきゃなんねーコトがある。
たとえ負けちまう確率が高くても納得出来た方がいいに決まってる。
オレなんかサスケがイタチに勝つよか低い確率でまだ夢を描いてる。


捨て切れない夢……

諦めらんない夢。



それは……




サスケに認められる夢。


夢の第一歩はサスケを里に連れ戻して

一緒に競いあって

一緒に強くなって



そんで……


偉ェ強くなったサスケよか、未来のオレは断然強くなってて
そうしてサスケに認められて火影になる…!


オレに守られてるサスケが悔しいけどサクラちゃんと結婚したりしてカワイイ、サクラ似の赤ちゃんを見て

「幸せは未来にあったんだな」って、

サスケにそう思って
笑ってもらいてェ。



そん時にはオレも
誰かと結婚したりしてて父ちゃんになんかなってたりして、ガキんちょに『おいろけの術を』教えたりなんかしてて。
それ見たサスケに呆れられた顔をされながらも「家族っていいなっ」てみんなで笑ってたり。







きっと手に入れられないからこそ、夢は膨らみ途方もなくなる…。
だけど、ぜってー不可能なワケじゃない。


未来なんか決まっちゃいねーし、夢を実現させる手段は必ずあるって信じてっから。


信じるだけじゃなく
夢が夢で終わんねーようにするには
乗り越えなきゃなんねー壁ってモンが誰しもある。


サスケの夢は復讐したら終わりじゃない。

その先にあるって思う。


それには
イタチと決着をつけねーとダメなんだって、そう思う。


任務は遂行させねーといけねーのは重々承知してる頭ん中と心が食い違ってる。


空耳のようなサスケの声を聞き取ってから
‥…ヨケーに。





たぶん、サスケはイタチに出くわして現在、イタチがオレに教えてくれた場所にいて
イタチと……















…――サスケ。










オレの中に入って来たのはサスケだけで…――

オレですら全部はコントロール出来ねェ、あのバケモンを抑えちまったのもサスケで


カカシ先生が取り逃がした暁のヤツも一人で、やっつけたのもサスケで……




そのサスケが
何故か
オレを呼んでる‥。







イタチの言ってた試練ってヤツが何だかは知らねーけど、
オレがサスケを必要とするコトをイタチは薄く笑って目を伏せてた、そん時の顔が…こいつはサスケと確かに血の繋がった兄弟なんだなって
何でか、そう思えた。





それは幻術をかけて話しかけて来たからそんな風に思えたんか、
そうじゃなくて…現実での表情だったか‥
その辺は判断出来ねートコがあったけど

イタチはサスケに
何かを期待し
何かをけしかけてる気がした…。




けど、オレはこれっぽっちもイタチを許しちゃいねー‥、どんな事情があれ、サスケをあんな風にしたんだ。


試練だか何だかは
わかんねーけど
これ以上‥…サスケを傷つけたら――‥。



サスケは手ェ出すなって言うだろうけど
黙ってられっかよ‥。




オレだって
サスケには敵わねーが強くはなったんだ。

エロ仙人と過ごした二年半は伊達じゃねーってコトとヤマト隊長やカカシ先生と修行した成果をテメーにもお見舞いしてやるってばよ。



サスケの復讐劇にオレが必要だってんなら
望むところだ!





暁のヤローを目の前に逸る気持ちにやきもきしながら、
オレはサスケへの思いと夢を馳わせ‥
イタチがオレとサスケが本当の兄弟でなかったコトに感謝しろみてーな言い草を漏らしたコト、それに血の繋がりより濃い絆を裏切られても
サスケのコトをそんな風に思ってられるのか。と訊いた風な口調で、オレには真実を知る必要があるかも‥…
なんて言ってたコトを思い起こしていた。





…サスケ!



一刻も早くお前に会わなきゃ‥…!





「トビとか言う奴!
今、お前に構ってる暇ねーんだ!」


「そんなに睨まなくてもいいじゃないすか。それにあんまり慌てるとロクな目に合わなかったりしますねー‥」
悠長でいておどけてるみてーな態度に余計に気が急ぐ。


「うっせーんだよ…!何でもいいから‥ソコどいて、…サスケに会わせろ!」



焦る気持ちが声に出た‥

トビとか言うヤツなんか、さっきから眼中にすら入っちゃねー‥



サスケのコトばっか気になってる


サスケが呼んでんだよ!

サスケがオレに会いたがってんだ!



早く…


早く、早く早く




はやくッ――‥!






イタチが言っていた
あの場所に
早く行かねーと…!!






サスケが…――ッ!!




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