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新なる旅立ち-sideサスケ-

頬を撫で擦れ合い
身を寄せ
どのくらい時が経ったかは知れず。
ゆっくりと身を剥がして控え室の壁に立て掛けてある白い着物へと足を運ぶナルトの定め先程のシスターと入れ替わる形で部屋を出る。
俺もうちはの家紋が縫い付けてある父さんが使用してた紋付き袴へと着替える。

準備が終わったと伝えを訊きナルトを迎えにあいつの所へ再びと進む。

白い和装を纏い
角隠しで相貌を臥せるナルトを目にし
扉を開けた先で思わず佇んでしまう。

普段、騒がしい奴が
こうも静かで楚々とした様子が酷く大人に見えたからだ。



「サスケ……―」

名を呼ぶ声に足が動き、いつもと違い行儀よく椅子に坐った白無垢の花嫁へと手を差し出す距離で止まる。

弱冠と白塗りされた顔見上げる碧眼は淡く…金色の結い切れない髪の生え際がドレスとは違った風合いを醸し出してはいたが差し出す手には躊躇い、
下唇の内膚を噛み締め。

それから開いた唇に注目をする。


「あのさ、……オレ、こんな化粧されてなんかさ、バカ殿みてェじゃねーか?」

突拍子もない発想に
瞬く事数度。

「バカ殿?…ああ、アレか確か…――だっふんだ、だったか?」


「それはヘンなオジサンで、バカ殿はアイーンだってばよ!」


こうだと見せる様に
「アイーンッ!!」と顎を突き出し、片手を顎下で水平にして顔を崩すナルトの戯けた姿が照れ隠しに思え
微笑ましく‥――


「綺麗だよ…ナルト…」

「アイーン顔がか?」

調子にノリ連発披露するナルトを
訝る視線で見据える。


……頼むから空気を読んでくれ。


「アイーンはもういい。止めろ…」

「んじゃさ、サスケってさ白い顔したヤツが好みなんか?だから、大蛇丸んトコに……――だったんか?」


「…確かに俺の空想の中ではお前は俺より肌が白いが断じて違うぞ。それよりだな、ナルト…」


「何?」

「ムードを…台無しにすんじゃねーよ…」


「…うるせェ!オメーがそんな胸も開かねーで行儀よくキッチリな着こなしで、何かビッとしてカッコよくて、そんでキザで、恥ずかしいコト言うからだッ!」

顔料を塗ってるのにも拘らずに、薄紅へと染まる頬……

「お前の母ちゃんのだって思ったらどんな顔していいやら…で、
そんで、こう‥なんか体がカチンコチンになって、ドキドキして…本当にいいんかなっとか、頭ン中パニックで…」

「────‥さあ、一緒に帰ろう。俺達の故郷へ…‥」

ナルトの左手を柔くと取り、そっと引き上げ。立ち上がるナルトの穏やかなる微笑みが縦に揺れたのを認識して教会から外へ。


「台風、いっちまったんかな…」

空を見上げ雨が止んだと晴れやかな笑顔を見せる花嫁と取り合った手。

見つめ合い、
はにかむ姿を宿して
白馬の背にナルトを乗せ、直ぐに俺も鞍上を跨ぎ、後から手綱を引き。迎えに来た里の連中を連ねて里への道中を行く最中の背後を護りつつ囁く。

「誰よりも似合うその白を纏って…ふたりの色に染めに行こう。」
小さく頷いて俺へと太鼓掬びの帯隠す白絹の羽織りを預け浅くと凭れる表情は見えないが俺と同じく穏やかなるものだと目蓋を閉ざし腕間を狭め白い角隠す布上に口吻けをひとつ落とす。

暫くすると
近付いた火影の館前で止まる列と共に歩みを止める馬から先に身を降ろし、保護するかに花嫁を抱き降ろして
五代目火影が待つ部屋へと二人の恩師に伴われ、その手引きにより養子縁組みの書類に筆を走らせ"うずまき"から"うちは"の姓名へ愛しい者の名乗りを変えた。

無事に済ませて父親のように暖かな笑顔を育むイルカ先生と隻眼しか分からねーが、細めた片瞳に弧描くカカシを媒酌人にして顔見知った仲間が歓迎と創った決して大きくは無い手作りの宴を過ごす。
テーブルに飾られた小振りな向日葵の挿花はいの、手書きなる席札はサクラが、宴屋の設らえはヒナタやテンテン、意外にもシノやネジまでも創ったとナルトが小耳を打つ。

並べられた料理の一品、ガイとリーが拵えたという夏には似つかわないビーフシチューさえ嬉しくと口にするが…………濃ゆい。
それと
これはナルトの好物だが、味噌ラーメンとか有り得ないだろうよ…。

隣で気にもせずズルズルバクバクと料理を食すナルトの衣裳が汚れないようにと気配り
口紅を拭う拳をオシボリで拭きと世話を焼く俺に対し、「以外だ」と揶揄する声。
クールな俺のイメージが少し台無しに思えたぜ。

まァ…詳細を綴ると長々となるから割愛させて貰う。


「愚かなるオホモトよ…」から続いたイタチからの祝電には怒りが沸いたが、まあ、いい。
精々、俺を見下し
うちはの血を増幅させるタンポポになってくれ。
その内殺す…!
必ずな…。
しかし何処から情報を仕入れたんだ?

後は
『超、幸せに!ワシも今、天国の階段建設中じゃ。ナウでヤングな建設家より』やら

『……御達者で。砂漠の我愛羅』

『別れたら次は私……。大蛇丸』

『可愛い後輩達にちょっとだけアダルトなおもちゃを贈ってあげようかな?‥薬師カブト』

いらねー‥絶対にヤバい代物だからな。

ナルトは「何くれんだろ?大人なアヒルかな?」なんて無邪気にはしゃぎ期待してたが……――いいのかよ?

千鳥な感じだぞ。

いや俺の天然千鳥以外がお前の中に挿るなんて許さねェ。


色んな意味で盛り上がる中、初夜の事のムード作りに頭が傾く。

ナルトは全然考えてねーようだがな。


俺の妄想で高まる鼓動は愛で空が墜ちてきそうだった。

「食わねーんならもらっちまうぜ?」

返答も聴かず、伸び切った汁のないラーメン上のチャーシューを咥えるナルト。


これから俺の肉をたっぷり喰わせてヤるぜ…
下の口にな…。


「…クク……」っと笑うとナルトが何を勘違いしたんだか知らねーがニィッと歯を見せ笑った。


さて、ふざけた妄想は掻き消して真面目に行くか。



衣裳のサイズもあってか幾年成長した姿に変えた俺とナルトを普段とは違った目で迎えてくれた里の連中は
日常と変わりない態度で俺達を祝福してくれ、最後に司会のアスマが「次は……」と紅の方を見て頬染め咳払いをするとやたらとカカシが煽り立てリーがガイと…、などとの宣言にシーンと鎮まった。


濃ゆさで締め括った気がするが……



みんなの気持ちが何より…と急に静かな笑みを浮かべ「ありがとう…」と頭を下げるナルトに癒され、俺もゆったりとした瞬きで礼を馳せた。





無事に一切を終え、伴侶となったナルトの手を取り厳かに歩き、自宅へと進む。


うちはの門下を潜り、二人で玄関を渡り、居間を通らずに神妙と顔付きを変えたナルトを抱き寝室へ踏み入れる。

ベッドの上へと叮嚀に腰を落とせば、察した様子で俯く。そんなナルトの大人びた美しさと仕草に見とれていた。
真っ白な和装がやはりよく似合う。

下げる相貌に隠れる目許、小さな紅指した唇がまた綺麗だと見惚れた矢先ベッドに正座するナルトが三つ指をシーツに降ろして頭を下げた。


「ふつつかモンだけど……、宜しく…お願いしますってばよ‥」



ズッキュウゥゥン!!



このまま、
『いただきます…。』と雪崩れ込みてェ所だが、初夜でそれは駄目だろう。

ムードが大切だ。
こいつの旦那としてクールに尚且つ恰好良くとリードしなきゃならねェ。


落ち着け俺。

こいつがこんなに物静かで淑やかになるなんて、もうこの生涯、有り得ねー事なんだ。


そう言い聞かせ、俺は心の中に冷静さを目覚めさせる。


野性ではなく…――
理性を、な。







………続く。


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あきゅろす。
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