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七夕◆笹の葉サーラサーラ♪の*び/太に揺れて編




家に帰ったオレとサスケは折り紙や千代紙で笹飾りと短冊を作った。


指にねちっこく着く糊で紙やテーブルを汚してるオレと違って
サスケは器用で
丁寧にキレイな飾りを作る。

サスケは何でも出来て羨ましい。
改めてサスケみてーになりてェなって思う。

そんでから笹に飾り付けをして
庭にしっかりと植えた。

空は今にも雨が降りそう……



団子は作るのか作らないのかと二人して悩み

材料ねーし、月見とはちげーから作らなくていっかなな結果を出して、
筆を用意すると
お互いに背を向けて
コソコソと隠しながら短冊に願い事を書いた。



「何、書いたんだ?」


覗くサスケに見られないよーに必死に両手で隠す。

「バカ見んな!アッチ行けってばよ!!」


サスケを足でゲシゲシ追い払い再び短冊に筆を卸そうとしたら‥‥

墨汁が滲んで
手も真っ黒に……


「だぁああッ!サスケェ!!てめーのおかげでもっかい書かなきゃになっちまっただろッ!」

失敗した短冊をくしゃくしゃ丸めてサスケに投げ付けた。

いとも簡単に避けるアイツが憎たらしい。


「…何で俺の所為なんだよ。お前が隠すからじゃねーか。」


「うっせー、うっせー!!避けんなバーカ!!」


「何だと、…馬鹿って言った方が馬鹿なんだぜ。」


「今、サスケもバカって言ったぞ!だからやっぱサスケもバカだってばよっ!!やーい、やーい‥バーカ、ぶぁーか!!」

「……フン、その馬鹿が好きなんだろ?」

オレの片っぽのホッペをムニっと摘みあげる。
ムカっとしたから
オレも倍返しの術でサスケの両ホッペをムニッと摘んでやった。


「さあ、…どーだろ?」

「…好きな癖しやがって」
オレのホッペで
『タコ焼き』を作り
ニヤリと笑うアイツのホッペから手を離す。

「ぎゃっはははッ!!
サスケのホッペ真っ黒ンなってやんの!」


「…!!?…」


慌てて洗面所へと行くサスケ。

アイツが
いない間に短冊を書いてトットと庭に出る。

背伸びして
腕を伸ばして
笹の枝を捕まえて

ぎゅっと結ぶ。


「雨…降んなきゃいいのに。」


暗くなる空に願う
「彦マロさんとオリジ姫さんが出会えるよーにィ!」


パチンと手を合わせて拝む。



目ェ瞑って。




「……彦星と織姫だ。」

目を開けるとサスケが横に立っていた。

サスケの背中の家紋が目に映っと


オレの飾った短冊よりも少し高い所に
アイツの願いが書かれた短冊が夜に変わる風に揺れていた。



曇り空に隠れた太陽が沈んで月の明かりが浮かぶ。

笹を眺めるサスケが
一つ瞬いてオレの方を見る。


「お前、火影になりたいんじゃなかったのか?」


「サスケこそ、イタチ退治じゃなかったんかよ。」


目が合うとお互い笑ってた。

そして自然と手を伸ばして繋ぎ
寄り添って庭に佇んでいた。




ポツリと星空から
一滴のしずくが頬に落ちる。


「…――雨、降って来たな。」

「……雨でも会えるんかな?――アイツら二人…。」


「ああ…逢えるだろう。」

「なぁ、何で一年に一回しか会えねーんだ?」


「彦星と織姫、アイツ等は任務をサボってイチャついてばっか居たそうだ。それで神様が怒り、天の川の対岸にと離されたらしい。」

「……カカシ先生は毎日遅刻して、いつもエッチな本読んでサボってても何もねーってのにな…。神さんって随分スパルタなんだな。」

「確かにな。
神様はドSなのかも知れないぜ?」

「……そんな誰かさんが目指してる境地みてー神さんは、いやだってばよ。」

「フッ…好きな癖しやがって何言ってやがる。」


「……ふーん、そんで?」

サスケの返答を右から受け流して七夕話の続きを催促。


「チィ……、まぁ良い話を戻すか。
逢えない辛さと寂しさでずっと泣いて仕事も出来ずな二人に、困惑し可哀想になった神様が、反省し一生懸命仕事をこなすなら褒美として一年に一度の七夕の日に逢瀬を許す‥と伝えたんだ。それを聞いて二人は逢いたい一心で頑張って任務をこなした。
そして約束の通り毎年天の川に橋が掛かり二人は逢瀬を交わすようになったんだとよ。」

「へー‥、サスケが珍しくお喋りになったってばよ!」

パチパチ手を叩いて
サスケを讃えると
そうじゃないと言うみてーにサスケは眉を顰めた。

「……もういいから、部屋に入ろうぜ。風邪引いたら困るからな‥」

心配性のサスケに手を引かれて部屋に。



そして
七夕の日万歳な飯を食いながら、オレは止まない雨の事を気にしていた。


「雨に濡れてアイツら風邪引いたりして
もし任務休むハメんなったら、…来年は会えないとかねーんか?」

「雲の上は雨は降らない。大丈夫だ。」


「そっか、よかった。」
安心して胸をなでおろして夕飯の支度に急ぐ。
サスケが作ってくれた竹の器に盛ったソーメンは涼しげでおいしそう。食欲を促されて
モリモリ食べて
お腹いっぱい。


寝るまでの準備が終わると二階のサスケの部屋のデカいテラス窓から星の見えない見る夜空を見上げる。
雨は上がったみたいでよかったけど……
織姫のねーちゃんと
彦星さんは見えなくて……

「アイツらさ、一年ぶりに逢えて、ぎゅっとしてチューすんの、みんなに見られんのが恥ずかしいんだな。
だからさ、だから雲のカーテンをしてイチャパラしてんの見えねーように隠すんかもッ!……そんで、やっぱヤるんかな?」


そーだ、そーに決まったって一人呟き疑問は残して曇る夜空の理由を自己解決すっと、
サスケが部屋のカーテンを閉めた。


「雲のカーテン、か。その向こう側でアイツらヤりまくってるに違いない。何たって一年に一度しか、‥だからな。」

ニヤニヤするサスケがオレの肩をポンと叩き抱く。
二人でがんばれって、窓から応援。


「彦星と織姫、いっぱいラブラブするんだぞ!」


「一日中、ヤりまくるだろうよ。さて、俺の達も負けじと‥イチャつこうぜ?俺の織姫様……」

姫抱きされてベッドに連れ去られる。


「じゃ、オメーは彦星なんかッ!
ってか、チンコついてる織姫なんか、いねーってばよォオオ!」






七夕の日は毎年雨が降ったり曇り空で
天の川を見る事も
牽牛座と織女星を見る事も出来ない。

はにかみ屋の二人が
作る雨と雲のカーテン。

夜が明けたら
きっとカーテンも開けてくれるハズ。

一年に一度しか会えない彦星さんと織姫さんに比べたら

サスケと毎日会える
オレは
すげー幸せモンだって改めて思った。

<おしまい>




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