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「…俺の知人に過去が視えるという特殊能力を持った奴がいてな。どこにでもいるような凡庸な奴だったが」

「過去…は普通だれでも記憶しているものじゃない。特殊というには何かあるのね」

「そうだ。そいつは自分に限らず他人に至っても、それらの過去を相互移替する事ができた」

「相互…えっと、砕いて言うと?」

「例えばだ。現在の出来事と5年前…まあ何時でもいいんだが、過去の出来事を差し替えるという表現が近い。分かるか?」

「映画でもよくある…タイムトラベルのようなものができる、っていうこと?」

「いや、タイムトラベルとは違う。現象のみだ。時間を遡る主幹は同じだが、肉体ごと移動するわけじゃない。細かい事だがその時々における地球に加重される質量も酸素消費量も変わらない」

「ん〜…」

「肉体まで移動してしまえば、それだけの事実で既に過去に変化が及ぶだろう?」

「そうよね、人口が一人分増減してしまうんだものね。でもそれ以外にもタイムパラドックスは避けられないんじゃないの?」

「……………。」

「どうしたの?」

「…いや、本気で聞いているのかと思ってな。単なるお伽話とは思わないのか?」



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あきゅろす。
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