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「あなたでも過去をやり直せたらな、なんて思ったことはあるの?」

「…唐突だな。ない。」

「後悔したことは?あの時こうしていればこうはならなかったんじゃないか、とか」

「ないとは言わないが、だからと言って自分に都合のいいように何度もやり直してどうする」

「まあそうだけれど」

「過去の集大成があるから現在の言動意義を構築できる。過去を修正したいという発想そのものが、精神的な心地よさを求めているだけの欺瞞に過ぎないと俺は思うが」

「さすがというか…でもね、それはあなたのような強かな人間だからこそ割り切れるものなのよ」

「…………。」

「大抵の人間は辛い目に合うのがやっぱり嫌で、それでも進むしかなくて、たまには逃げたりして…一見愚かしい生き様だけど、ほとんどの人が事実、そうやって生きているんじゃない?」

「……………。」

「私も基本的にはあまり物事をいつまでも気にしない方だけど、でもやっぱり…そうじゃない時だってたまにはあるのよ」

「それが普通だろう。後悔のない人間などいない。俺だってたまにはある」

「………へぇ」

「何だ」

「いえ、何だか想像つかなくて。あなたの後悔ってきっと並々ならぬものなんでしょうね」

「…別に大したものじゃない。中身の度合に大小なんてないだろう」

「聞いてもいい?」

「構わんが…落ちはつまらんぞ」



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