あなたは私に微笑みかけました。
(主人公視点)
私は鈍感じゃない。だから普通に分かるんだけど、こいつは私のことが好きだ。
最初は遊びとかじゃないのかと思ったけど、どうも違うらしい。
「律ちゃん。」
何、という意味も含めて仁王の方を向くと手をこっちに手を差し出してきた。
意味が分からなくてその手を見つめていると、仁王は私の手をぎゅっと握った。
ああ、そういうことか。
『私の、』
「ん?」
『どこが好きなの?』
面倒だから率直に仁王に聞く。
ぼっと赤くなった仁王を見つめる。どこ、と重ねて聞くと仁王は私から目をそらして小さく呟いた。
「……可愛いとこじゃ。」
予想外の発言に赤くなった顔で仁王を見る。
え?は?どこが?クールとかかっこいいとかはよく言われるけど、可愛いなんて言われたことがない。
「ほら、かわええ。」
そう言ってニコっと笑った仁王の目に、真っ赤になった私が見えた。
仁王が手をぎゅっと握りなおした。はっと我に返って仁王から目をそらす。
収まれ、顔の熱。静まれ、心臓。
「顔真っ赤じゃ!」
嬉しそうに言った仁王の言葉に、更に早くなる心臓。
仁王のくせに、なんて訳の分からないことを思いながら、繋いでる右手をぎゅっと握った。
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