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あなたは私を誘いました。
 
(主人公視点)

図書委員会の当番だったから、今の空はオレンジだ。
図書室の鍵を返しに職員室まで行っていたから下校時間を少し過ぎた。


「律ちゃん!」

『っ!』


学校の敷地内から出たところで背中にきた衝撃に驚く。
誰が抱きついてきたのかは呼び方で分かるけど、暑苦しい。


『離れろ。』

「嫌じゃ。」

『………。』


無言で仁王を睨んでみるけど、仁王は私の視線をスルーしてまだ抱きついている。
後ろからパタパタと数人の足音が聞こえた。
ちらりと後ろを見ると、テニス部のレギュラーが勢ぞろいしていた。


『何?』

「仁王がそこまで懐くなんて凄いな。」

「珍しいですよね。」

「珍しいどころか史上初っスよ!」


うるさい。
騒ぎだしたテニス部にイライラしてきて、お腹にまわってる腕からするりと逃げ出す。


「律ちゃん?」


無視しようとしたけど、子犬オーラを出している仁王を無視することができず立ち止まる。
ちらりとテニス部を見ると、騒ぎは収まって私を見てる。うわ、何これ。


「帰るん?」


こくりと頷くと仁王が手をあげた。


「一緒に帰る!」


小学生かよ、と思いつつ顔をしかめる。


「駄目?」


うっ…。
首を傾げながらキラキラオーラを出す仁王に駄目とも言えず、くるりと仁王に背を向けて自分の家の方向に向く。


「律ちゃん?」

『帰るんでしょ。』


そう短く言うと、仁王はパアと笑顔になって私の横を歩き出した。

 



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