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腐れ縁の彼
 

「赤林さーん。」


呼ばれたような気がして顔を上げると司書の先生。


「そろそろ教室行かないとけないわよ?」

『あ、ありがとうございます。』


お礼を言って椅子から立つ。
…あれ?芥川くんがいない。まあいっか。


図書室を出て廊下を歩いて、普通に教室についた。


「遊、はよー。」

『ん?ああ、おはよう。』


隣の席の男子が挨拶をしてくるので返す。
ちなみに蜜柑が転校してきたときに、笑ってきたから睨んだのがこいつ。


「今思えば…俺らっていつも同じクラスだよな。」

『またその話?まあ初等部からずっと一緒だしね。まあ腐れ縁でしょ。』

「だよなー。」


クラス替えのときにも何十回とした話を繰り返す。


「まあ俺にとっては幼馴染だけどな、お前は!」

『あー、うちもだよ、うん。』

「すげえ適当だな、おい。」


苦笑いしながらも爽やかに話すのは、七瀬春。
女の子みたいな名前であんまり好きじゃないらしい。


『春、バスケ部楽しい?』

「おう!今年の1年が結構上手くてさー!」

『ふーん。』

「お前から話ふったのに興味なさそうにすんなよ!」


ごめんねー、と言って笑うと笑い返してくる春。
いつもこんな感じ。


「遊、帰ってくるの遅かったね!」

『あ、蜜柑。』

「待ってたのに!」

『ああ、ごめん。』


膨れる蜜柑。はっきりいって…可愛い。


「転校3日で名前呼びって…、転校生と何があったんだ!」

『え?特に何も。』


いきなり騒ぎ出す春。
は?意味分かんない。何こいつ?


「夕空のこと呼び捨てにしてるのは、男テニだけって聞いたんだけど。」

『へー。』

「許可してないのに呼び捨てにされたんだよね。」

『どんまい。』


嫌そうな顔した後、遠い目する蜜柑。
そこまで露骨に嫌そうな顔しなくても…。


『あー、これは七瀬春。うちの幼馴染でバスケ部の副部長。』

「よろしくな、夕空。」

「よろしくね、七瀬くん。」

「ちなみに名前呼びは、遊と家族以外は許してないから。」

『へー、そうだったんだ。』


初耳だ。家族とうちだけってどうなんだ…。


「愛されてるね、遊。」

『へ?いや…全然?』

「えー、俺の愛が分かんないのかよ!」

『ごめん、全然分かんない。』

「酷い!」


そんな会話をしていると、丁度担任が入ってきて蜜柑は自分の席に帰っていった。


腐れ縁の彼
→地味にモテるんだよね、あいつ。

 

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あきゅろす。
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