めでたし、めでたし。
雅くんが軽くアップをすると、たくさんの人が勝負をしようと声をかけてくる。
うわー、人気者だなー。
雅くんはそれを苦笑いで断りながら、きょろきょろと周りを見ている。
目的のものを見つけたのか、笑顔で大きく手を振った。
「謙也ー!あ…、侑士もおるやん!」
「ども!」
「雅那さん、お久しぶりです。」
「侑士なんか…東京行って大人しゅうなったんとちゃう?」
談笑している3人を見ていると、男の人達10人くらいに囲まれていた。
え、この人達…誰?煙草臭い…。
『あの…なんですか?』
「君、暇?てか暇だよね。」
「断定しちゃってるし!ギャハハ!」
…え、何?何語話してるんだ、こいつら…。
『残念ながら暇じゃないんで。』
「えー、そんな分かりやすい嘘ついちゃいけないよー?」
『嘘じゃねえよ。』
「あれれー?口悪くなったあー?あ、でも大丈夫。俺気ぃ強い子好きだからー。」
『………まぞ?』
「いやいや、違うから!」
「え、何?お前Mだったわけ?初耳なんですけどー。ギャハハ!」
ギャアギャアと騒ぎ出す男達…うざい。てか、ギャハハ!って何?口癖なわけ?すっごいダサい。
はあ、とため息をつくと男達がこっちを向く。
「まあ、一緒についてこない?遊ぼうよ。」
『お断りします、断固拒否。』
そう言うと、あのMの男がにんまり笑いながら顔を近づけてくる。
え、あ…きもい…。てか、臭い。
『すいません!』
一言謝って、目の前のM男に向かって足を振り上げる。
つまりあれです、一歩間違えば再起不能になるって言う、あの恐ろしい技です。男の子はとても苦しむんですよ。
目の前のM男が声にならない悲鳴をあげながら崩れていくのを待たず、するりと脇を抜けて雅くんの方に走っていく。
『雅くん!』
「んー?どないしたん?」
『むにって!むにってしたああああああ!』
「…はい?」
感触が残る右足と両手をあわあわと振り回す。
気持ち悪い…。
「まあ、見とき?今から試合やけ!」
『え、ちょ…。』
笑顔で頑張るわー、と言いながらコートの外に背中を押して出す雅くん。
うあああ、死亡フラグって言うんですか、これ?死にますよ、うち?
軽く顔を上げると、M男を囲むように男の人達が居て、みんな爆笑している。
あれ?仲間じゃなかったけ?
興味本位で近づくと、うちに気付いて男の人達が見えるように間をあけてくれた。
『大丈夫…じゃないみたいですね。』
「おま…ちょ…。」
何か言おうとするが痛いらしく、押さえながらこちらを見ている。そんな様子を見ながら、仲間と思われる他の9人は爆笑している。
まあ、それからいろいろあったけど、その男の人達は案外いい人で、仲良くなりましたとさ。
めでたし、めでたし。
→面白い人達だった。
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