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努力家さん
 

春に呼び出された日は土曜、次の日の日曜はゆっくり家ですごした。

昨日は昼寝もしたし、早く寝たから機嫌がいい。


教室に入ると誰もいない。
うわー、久しぶりに1人だなー。最近は蜜柑がいつもいたからなー。


席について机に伏せてから横向いて窓の外を見る。
…あれ?男子のテニスコートにいるのって蜜柑じゃね?気のせい?

向日くんにちょっかい出されている蜜柑が見える。
なんで?まあ関係ないし…気にしない方向で。


そのまま、HRが始まるまで深い眠りにつ……けない。

昨日寝すぎたかな?
ぼーっとそんなことを考えていると、いつの間にか朝練を終えたクラスメートが入ってくる。


「はよー!」

『おはよ。元気だね、春。』

「おう。」


朝から爽やかな笑顔を振りまく春が教室に入ってくる。


「やっと1学期が終わるなー!」

『は?』

「え?今日って終業式だろ?」


黒板に目を移すと確かに終業式の日。


『なんで月曜日にするのかなー。』

「金曜日がいいよなー。」

『だね。』


明日から夏休み…、夜更かしも朝寝もできるなー。


「いっぱい遊ぼうな!」

『あー、できれば?』

「えー。」

「遊ー!遊遊遊!」

『どーしたの、蜜柑?』


春と話していると、呼吸が乱れた蜜柑が突進してきた。


「もう…やだ…。」

『は?』

「やめたい…。」

『男子テニス部と関係あったり?』

「何で知ってるの?」

『朝練見てたからー。』


男子テニス部に関係あるんなら面倒だなー。
あの人たち金持ってるし。世の中金だよね、うん。


「男テニのマネージャーやることになって…檸檬と…。」

『へー。良かったじゃん。』

「え?」

『だって、男テニのレギュラーかっこいいよ?間近で見れたら嬉しくない?でも、さすがに放課後とかの部活嫌だけど。』


面倒だし、と付け加える。
蜜柑がいつものように笑わず、真顔で考え込んでる。
なんか変。いつもと違う。


「遊がテニス部のマネするなら、バスケ部のマネしてほしい!」

『いや、なんでだよ。』


そんなとき、春が真剣な顔で意味不明なことを言い出す。
何で?てか、部活って面倒じゃね?放課後とか時間欲しいし。


「かっこいいと思う?」


いつもと様子が違う蜜柑が真顔のまま聞いてくる。


『あれでかっこいいって思わなかったらおかしくない?』

「誰が1番好き?」

『日吉くん。』

「え?」

『2年の人。』


更に厳しくなる蜜柑の顔。
そんな檸檬に質問されて答えてく。


「どこが好き?」

『前に朝練にすごい早く来てたから。練習熱心だなー、と思って。まあ恋愛感情ではないけど。』

「そーなんだ!」


なんか蜜柑の様子がおかしかったけど、今は普通だしいっか。


「ちなみに遊のタイプって…日吉みたいな人?」

『いや?別にー。まあ努力してる人かなー?』

「え?」

『うちものぐさだし、憧れる。日吉くんとか男テニの人とか、春だって凄いと思うよ?』

「そっか!」

「俺、これからも頑張る。」

『おー、頑張れ。』


春を応援したのと同時に教室に担任が入ってきて話が終わった。


努力家さん
→タイプってよりも憧れ。

 

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