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ある少女の遭遇
 


「相変わらず…、あんた無表情ねー。」
「褒め言葉ですか?」


目の前にいる顧問にそう言えば頭を叩かれた。
無表情なのはただ童顔を隠すために表情を出さないだけで、紀伊くんとか家族の前だと普通に表情は出す。


「何の用ですか?」
「このリストにある本借りてきてくれない?」
「分かりました。」


リストを見ると全部料理関係の本。つまり部活に必要なもの。ちなみに部活は家庭科部。
調理室に向かっていたけど、くるりと方向転換して図書室に向かった。



「この本、ありますか?」
「あっちの本棚です。」
「ありがとうございます。」


教えてもらった本棚でリストに書いてある本を探す。全部見つけて本を抱える。
貸し出しカウンターに行こうとすると、ちらりと写真で見た顔が本棚の間から見えた。


あ、名張マリアだ。


彼女は一生懸命、上の方にある本をとろうとして爪先立ちで頑張っている。台使えよ。
そんな彼女に立海の紳士が手を差し伸べた。そう、柳生…うん、下の名前忘れたけど、柳生くんだ。


「この本で合ってますか?」
「あ、はい!ありがとうございます!」
「いえ、困っていらっしゃったものですから。お気になさらずに。」


気にするなと言った柳生くんに名張マリアは何回もお礼を言って頭を下げる。
そんな彼女に柳生はくすりと笑い、また会いましょうと言って図書室から去っていった。


 


あきゅろす。
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